朝から風が強く吹いています。しかもちらちらと雨が降っている。わたしは昨晩からずっと家の中で休息をしていました。昼を過ぎた頃から、本格的な嵐となり、窓やドアが強風と雨で音を立てています。窓の外に見える木も大きく揺れています。こんな日は室内にいるのが最も安全です。
*安全な室内で嵐が去るのを待つシャルル
ところが、午後になってジョエルがその嵐の中、帰宅したのです!そういえば、ここ数日ジョエルは家にはいませんでした。ジョエルの歩いたあとの床には、べったりと足跡がつき、彼の靴に近づいてみると、気の毒なほどびっしょりに濡れています。かばんも、水をたっぷり含んで重たそうにドサっと床に放り投げ出されました。一体どこへ狩りに行っていたのでしょう!?
*イメージです
シャンタールママがあとから続いて家の中に小走りで入ってきました。「いや〜、もう
ホントに、ある意味思い出深いスクールキャンプになったよね」
話を聞くと、どうやら学校から自転車で数日間どこかへ出かけていたようです。狩りの授業だったかどうかはよく分かりませんが...とにかく、キャンプの最後の日、嵐に見舞われたということのようでした。
*雨の中の自転車は子供の時から慣れているので、歳を重ねても何気ない顔で乗る
ハンターの勇者であるわたしにとって、多少の雨は問題なく、同じようなそんな勇敢な人間を何度となく目撃したことがあります。頭から足までペラペラとした服をすっぽり被った人が、自転車で雨の中を行く姿を。しかし、今日のような嵐の中を自転車で生き抜いたジョエルをわたしは見直しました。強風と雨の中を帰宅した彼は今まで見たことのないような、安堵感と幸福感に満ちた表情をしていました。
そう、暖かく心地の良いこの家は、わたしと同居人の安全地帯、聖域です。
※シャンタール追記※
2泊3日のスクールキャンプは、全員自転車で片道およそ36kmの道のりを行きます。最後の日だけ嵐に見舞われ、その中を走って帰ってきた中学一年生50人と先生方、脱帽です。さすがに嵐の中の最後の10kmは計画変更で、みんなで電車に乗ることになりました。(こちらの電車は自転車も持ち込めます)
*オランダ鉄道、自転車別料金で持ち込み可能
オランダでは小さいときから、雨でも自転車で登校。子供が弱音をはくものなら、親は「あなたはお砂糖でできてないでしょ?」と言って、発破をかけるのです。
この『格言』を初めて聞いた時、私の脳は一瞬フリーズしました。日本の格言は、いかにも“戒め”や“教訓”ぽさがあるのですが、オランダのそれは、どこかユーモラスというか、視覚的で一瞬「え?」と思わせるものが多いのです。日常会話でもオランダ人はよく好んで使っています。嵐の中でも自転車を走るオランダキッズのメンタルは、確かに溶けてしまう砂糖ではなく、強い“石”のように小さいときから鍛え上げられているのかもしれません。
*オランダの国民的キャラクターのミッフィーちゃんでさえも雨の中を自転車で