黒のヘレネー/山岸凉子
かなり昔読んだ時は、ただギリシャ神話をモチーフにした
山岸凉子得意?の姉妹確執物・・・という感想だったと思う。
ところがまた最近読み返してみると、そんな薄っぺらい感想
持ってた自分が恥ずかしく思ったよ。深い・・・この話は深い。
まずはギリシャ神話のヘレネーについての説明文から入り、舞台は
古代ギリシャへ移る。でもあくまで「現実」として描かれており、
神話をそのまま漫画化したわけじゃないと分かる。
影の主人公の口からも、自分たちの出生が神話の白鳥に
変身した父親と母との間で生まれた云々という事について、
母親が夢見がちだからと一言で片付けている。
影の主人公はタイトルになっているヘレネーの姉。
名前は早口言葉みたいだ。
・・・クリュタイムネストラ。(5回続けて早口で言ってみよう)
絶世の美女として慕われる妹に比べると、とても地味で暗い
雰囲気の姉。母親や双子の兄たちとの関係も薄いよう。
その姉の目を恐れる妹。 この二人の視点からそれぞれ
読んでみると、とんでもなく恐ろしかった。
小さな頃から賞賛されてきた妹にとって、その「賞賛」は
特別な事ではなく、日常的な事になってしまっていて
「あなたは美人で・・」云々言われても嬉しいとも思わずだから何?
としか捕らえられない。賞賛を受けるって名誉であり、幸せな事
だと思うんですが彼女にとっての幸せはそんな事では得られず、
非日常的な事を求めるしかない・・・という平和や平凡という事が
どれだけ幸せな事かを気付けなかった不幸な女性。
姉はそんな妹と過ごしてきて辛かったことも多かったと思われます。
美人ではないことも、家族との親交が薄いことも、
そして結婚しても旦那さんが敵に殺されたことも・・・。
更に「妹のおかげ」で旦那さんを殺した相手と再婚する事も。
その結婚後も結局は旦那を殺した程の不幸に見舞われた
・・という不幸な女性。
その不幸な姉妹の間の溝は、妹の無意識の悪意により
ますます広がり続けて衝撃のクライマックスへと話が進むのです。
かなり古い作品ですが、その内容までは描くのやめましょうね。
このクライマックスに到った経緯を考えながら、妹の無意識の
悪意に注目していると戦慄が走りました。
最後まで妹にとっては姉はただの狂人でしかなかったって・・・。
怖いよう。
この後姉の方はどうなったんだろうか。
すっきりしたんだろうか?
それとも命を絶ったんだろうか?
作者はどんな風に考えてこの話を作ったんだろう?
掲載されたのは1979年の花とゆめ11号だそうです。
ちなみにこの号の作家陣の豪華さよ・・・ 山岸凉子、
美内すずえ(がらかめ)、神坂智子エトセトラ。
今こんなラインアップの雑誌が作られたら、お金持ってる層が
ファンなんだから売れないかな。漫画雑誌を買うのをやめて
随分になっちゃった私ですが買うぞ!毎号。
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Last Update:January 09, 2008