カリフォルニア物語/吉田秋生 | 元漫画少女の雑記帳

カリフォルニア物語/吉田秋生

ca なんか等身大に感じる。なぜだろ。


またまた吉田作品です。


吉田作品といえばバナナフィッシュから

IQ200あったり、遺伝子をいじって作られたスーパー人間、

その血を受け継ぐ、やっぱり特殊能力がある女の子・・と

リアルとは掛け離れた主人公の作品を生み出しているんだけど

(そう考えたらバナナと夜叉の間のラバーズキスは異色かも)

バナナの前の連載作である「カリフォルニア物語」は

ある意味吉田作品の中で特別なものかもしれない。


主人公は別に特別IQが高いわけでもなく、特殊能力が

あるわけでもない、ただの家出少年。

で、タイトルはカリフォルニアではあるけど、主な舞台はニューヨーク

だったりする。あくまでカリフォルニアは主人公の実家がある場所。

だから最初なぜ「ニューヨーク物語」じゃないんだろうかと

思っていました。

でも読み進めていく内に主人公にとってやっぱり家出してきたとは

いえ、このカリフォルニアという地は大きな意味があるんだと

わかった時、吉田さんってすごいなと思ったりした。

だいたいのあらすじは・・

厳格といううか頭の固い父親と、優等生の兄との生活で

すっかりグレてしまった主人公・ヒースがニューヨークに

家出してきたところから始まります。

そこにはテキサスで偶然出会った同じく家出少年のイーヴも

ちゃっかりとついてきていました。

このイーヴ、ニューヨークから夢のカリフォルニアに向けて

家出してきたのに、ヒースについて戻ってきてしまうのが可愛い。


そしてCAで知り合ったインディアンという青年のいるアパートに

身を寄せ奇妙な共同生活が始まります。

だけど特別物凄い事が起きるわけでもない。

だけど平々凡々な日常というわけでもない。


それは登場人物それぞれに悲しい事情があるから。

だから正直楽しい漫画というわけではなく、私の場合

初めて読んだ時は途方もなく憂鬱な気持ちになってしまった。

ヒースの事情・・地元で荒れていた頃にドラッグに手を出し

身も心もボロボロになってしまったこと、兄と父親への強い

劣等感とそれを隠すつもりの反抗。

イーヴの事情・・もともと知能にちょっと問題がある上、まともに

学校にも通わせて貰えなかった上に両親もなく、姉に育て

られはするけど、その姉も失踪し男娼にならざるを得なかった。

人に親切にしてもらうというのも知らず、ただタバコを一本くれた

ヒースに対して物凄く感動するのが悲しくなった。

テリー(ヒースの兄)の事情・・優等生ではあるけど、自由に

行動する弟が実は羨ましかった。

・・・などなど。一言で表現すると「暗い」

しかもその雰囲気をトーンを殆ど使わない絵柄が余計に

際立たせます。(でも個人的にトーンの少ない漫画ってすき)


最初はもう救いもない展開にかなりかなり落ち込んでしまったけど

現実ってある意味そんなもんなのかもしれない。

だからかとてもリアルに感じられ、何度も読み返してしまいたく

なる作品なのです。


ついでに私の考えた救い・・

イーヴはギャラハン先生に引き取られて、夢のカリフォルニアで

幸せに暮らして欲しかった。

でも吉田さんは情け容赦なく話を進めるのがちと悲しかった。




「カリフォルニア物語」文庫版 全4巻

著者: 吉田 秋生
タイトル: カリフォルニア物語 (1)
著者: 吉田 秋生
タイトル: カリフォルニア物語 (2)
著者: 吉田 秋生
タイトル: カリフォルニア物語 (3)
著者: 吉田 秋生
タイトル: カリフォルニア物語 (4)



Books Ranking


ぼくの地球~続編、売れてますね。