鬼
割合最近の作品です。
ストーリーは山岸さんお得意の心の底からゾーッとするホラー。
もちろん恐いです。幽霊が出てくるし。
だけど珍しい事に恐い話なのに涙が止まらなくなって
困ってしまった作品でもあるのです。
それはその幽霊がまだ子供であり、とてもかわいそうだからという
のもあるかもしれません。
山岸さんってやっぱり凄い。
幽霊をただ恐いとだけ感じさせるだけじゃない描き方が出来るなんて。
昔、東北の方で冷害が出るたびに沢山の農民たちが餓死した
というのは歴史で習ったと思います。
彼らは当時の日本人としては御法度だった、家畜の肉などを
食べて飢えを凌いでいました。
しかしそれすらも足りなくなると、農家の後継ぎとなる長男を
除く子供を深い穴の中に入れ、そのまま放置していたのです。
子供たちは親を呼び続けます。
だけど親は助けに来てくれません。
でもいつかお母さん・お父さんがぼくを助けてくれるからと
そういう状況にした親を恨む事もなく死んでいきます。
しかしその前にひとつ・・・
彼らは飢えを凌ぐため、死んだ仲間の肉を食べます。
まだ子供ですからどうしても弱く、また雨よけもない穴の中では
冷たい雨が降ると打たれたままなのです・・。
そして最後まで生き残った子供は、仲間の骨に囲まれて狂気の
日々を過ごす事になってしまいます。
ですが親を恨めないのです。。
そして仲間の肉を一番たくさん食べたのは自分だと
そんな自分は鬼になってしまったんだと、自分を責め続け
亡くなります・・。
その子供は現代になってやっと救われる事が出来ます。
きっかけはお寺の跡継ぎの青年たちが大学のサークルで
その現場近くにやってきた事でした。
彼らは不可解な事件を解明しようとしますが、それで
知った冷害による被害の事実、そして子供たちの存在・・。
本当にこの子は鬼なんだろうか。
色々考えさせられる作品でもあります。
鬼 山岸涼子 潮出版社
