犬を飼う/谷口ジロー | 元漫画少女の雑記帳

犬を飼う/谷口ジロー














昨日、突然過ぎる死を経験してしまい、なんだか無性に

また読みたくなった本が、この「犬を飼う」です。

初めてこの本と出会ったのは、この本が新刊コーナーに

あったのを見つけた時だったから、早10年以上前になります。

とてもかざりっけのない素朴だけどとてもリアルな絵柄と、

淡々と語られる作者の愛犬の一生に涙しました。

漫画を読んであそこまで泣いてしまったのは今のところ

この本だけです。

動物を飼うとその死も経験する事になります。
だけどその死はただの悲しい出来事で済ますだけでなく
その動物が与えてくれたいろいろな思い出を
残してくれた事を感謝したいと思うのです。

以前私は愛犬を亡くしました。
その時は鬱になり、俗に言う「ペットロス」の状態に
なってしまいました。
だけど飼い主がそれでは犬は心配でいつまでたっても
天国に行けないと訓えられました。
動物の死を悲しむのは当たり前のこと。
だけどただ悲しむのではなく、最期に
「今までありがとう」
と、感謝して天国に送り出したい。
そう思うのです。

この本もある犬の一生の物語です。
その中の老いから死までを中心にまとめた話ですが
色々と考えさせられる部分も多数あります。

「死」とは何か?

私もわかりません。
ただ肉体と魂が分離する?
その魂が転生して新しい命になる?
わかりません。

だけど、死に対して、涙と共に
「今までありがとう」とその子に対して
感謝したいのです。
そして肉体と魂は送り出しますが、思い出だけは
一生大切にしていきたいのです。

この本は動物を飼っている人にも飼っていない人にも
是非読んで欲しいです。

驚いた事にまだ増刷され続けているそうです。
更に文庫版も出ているようです。

この本が読者に問いかけること、作者のメッセージを
感じ取って下さい。
そして今動物が傍にいる方は是非抱きしめてあげて下さい。
そして死を迎えた時「もっとこうしてあげたかった」と
後悔をしないように、たくさんたくさん愛情交換して
あげて下さい。
最期に「ありがとう。君がいてくれて本当に良かった」って
送り出してあげるために・・・。



そしてこの本は死の悲しさの次に、生の希望の話が収録されています。
決して長年生きてきた犬が死んだ・・という絶望感で終わりという
わけではないのです。

いわば生と死についての一冊と言ってもいいと思う。
だけど決して難しい内容ではありません。

「生」の方の話とは・・

犬を亡くした作者夫婦の元に捨てられていた雌猫が託されます。
この猫はその時既に妊娠していました。
そしてこの家の猫となってから出産。
産まれてきた子猫たちの強さ、愛らしさ、今から生きていくんだと
いう希望。と共に捨てられて人間不信になった猫が本当の意味での
「この家の猫」となるまでの変化。
以前、「死を知って生を知る」なんて言葉を聞いた事があります。
(生死が逆だったかも・・・)
一冊読んでそうなんだなと感じました。
この猫の話と並行して、親の離婚・再婚により傷ついた少女の
心の葛藤、反抗、そしてその変化についても表現されています。

とてもとても内容の濃い特別な一冊です。



「犬を飼う」文庫版
「犬を飼う」通常版