ヨコハマ物語/大和和紀
今日は大和和紀さんの名作「ヨコハマ物語」について。
舞台は明治時代の横浜。主役は2人の女性です。
1人は貿易会社のお嬢様。お兄さんが1人いますが、父親は娘を
溺愛しており、母親は亡くなっていません。
性格は勝気。そして美貌の持ち主です。
もう1人は田舎で生まれ両親が亡くなった身寄りのない娘。
たまたまこの貿易会社の社長と親が商売上の付き合いがあり
両親が亡くなって小間使いとして横浜に連れて来られました。
この設定だと昔の少女漫画にありがちの、苛められる使用人という
図式が浮かんできますが、決してそうではないのです。
なので安心して読んで堪能して欲しいです。
明治のまだ女性の立場が弱かった中、飛躍していく2人の主人公と
「お嬢さん」の方を好きな二人の男性。
そしてその1人に片思いしている使用人の娘。
その複雑な恋愛模様と、女性の仕事と生きがい、本物の愛、夢、
友情をテーマにとても壮大で感動出来る物語です。
大和和紀さんといえば、「はいからさんが通る」がとても有名です。
はいからさんは恋愛に思い存分ギャグが散りばめられ、泣いては笑ってと
感情的に忙しい作品なんだけど、こちらはとにかく読ませてくれる内容です。
簡単にあらすじも書いておきましょう。
商人のお嬢様・万里子の所に、小間使いとして卯野が引き取られてきました。
年は同じですが、性格は正反対。卯野は万里子の行動に振り回されますが
「外国に行きたい」という共通の夢をきっかけに友情を深めていきます。
この家の隣には祖母と住む少年・新太郎がいました。
偶然この少年と出会った卯野は彼に恋をします。
しかし、少年は密かに万里子の方に恋をしていました。
そういう事情を誰も気付かない内に、幼い万里子は船子の少年に
命を救われました。(なぜ命の危機になったのかは秘密)
船子の少年も万里子に一目ぼれをします。
この当時が少女たちはまだ10才。少年たちは確か14才程度です。
1巻の部分でそういうこれからの基盤となるエピソードが出て
そのちょっと切ない予備知識と共に2巻へ・・。
2巻で少女たちは16才になっています。そしてその恋心は変わりません。
しかしその秘めた気持ちの関係は崩れる事になります。
新太郎が好きなのは万里子
万里子が好きなのは新太郎
卯野が好きなのは新太郎(しかしニブチン新太郎は気付かない。イライラ)
船子だった男・竜助が好きなのは万里子
この事実が露呈した時、新太郎意外が苦しむことになります。
こんな複雑な関係をしっくりと感慨深くまとめられるのは
やっぱり巨匠・大和さんの力量だと思います。
是非この壮大な物語を体験して下さい。
恋愛に対する考え方も変わりますよ。いつのまにか。
大和さんの絵は「はいからさん」の頃は線も太めで、どっちかというと
ゴチャゴチャした感じでもありました。
(あ。私ははいからさんも大好きですよ~~~。念のため)
だけどヨコハマ物語の頃にはすっかり今のような繊細な線に
変化しています。
もしもこの壮大な物語が、はいからさんの頃の絵柄だったら
あそこまで感動しなかったかもしれません。
そして逆にあの繊細な線での「お貞」や「牛五郎」
(共にはいからさんのギャグ担当のキャラクター)だと
あそこまで笑えなかったかもしれない。絵のイメージって
漫画の内容にも大きく影響するんだと、この2作品を比べて思います。
最近感動してないなとか、心が荒んだなと思った時なんかは
是非読んでみて欲しいです。
ヨコハマ物語 コミックス版 全8巻 講談社
文庫版 全4巻