夜の馬
この話は「押し入れ」
の中に入っています。
薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた
元帝京大副学長安部英(あべ・たけし)被告が25日午後、
心原性ショックのため東京都内の病院で死去していたことが
27日分かった。88歳だった。
ニュースにそう書いてあったのを見た時、背筋が寒くなりました。
それはなぜか。
この「夜の馬」こそが、彼をモデルにして描かれたものだからです。
まずこの話には前書きがあります。
これは悪夢か現実か
この世界をのぞいたあなたが判断してください
ここでもう既に怖い。ゾクゾクします。
前置きが長くなりました。あらすじはこのようになっています。
読む・・・?本当に怖いよ・・・
いいの?
病院のベッドの上から幽体離脱する青年。
彼は「心地よい落下」をしていきます。井戸の中を・・・。
そこで出会った人たちは皆異様です。
そこへギイギイと荷車を引く人たちが通りかかり
「乗れ!」と声が。
青年は恐ろしくて拒否をします。
気付くとそこは病院のベッドの上でした。
青年は老人の姿になっています。
奇跡的に危篤状態を乗り越えたということで、老人の甥である
医師から、危篤状態の時に何か見たかと聞かれます。
甥は「光を目指して上に上に上がっていったでしょう?」
「綺麗な花や蝶を見ませんでしたか?」と
好奇心溢れる表情で問います。
その時老人が思い出す、「そこ」で出会った人たちのこと・・・・。
たった42ページの短編です。
それなのにこの密度の濃い恐さは山岸さんの神業だと思います。
亡くなった被告。
彼は何かを見たのでしょうか。
不謹慎だとは分かってはいます。
しかし彼の利己的な事情による、薬害エイズという業は・・・・・・
彼が死んだ事により、1審無罪のまま、裁判が終結するそうです。
やり切れません。
だけど・・・・・・・・。