【あらすじ】
寒い一月の朝、福岡市香椎の海岸で男女の遺体が見っかった。
二人は寄り添うように横たわっていて、
男はもちろん、女の着物にも乱れたところはなく、
脚はそろえられ、足袋も汚れなく清潔で、草履もそろえられていた。
二人は青酸カリを飲んでいて、警察は状況から二人は心中したものと判断しました。
しかし、鳥飼重太郎刑事だけが疑問に思った、
それは二人で福岡にやってきたはずなのに、男が一人分の列車食堂の受取書を持っていたからでした。
鳥飼刑事が心に引っかかっているものの、なんのとどこおりもなく心中で処理されていきました。
どうしても納得いかなかった鳥飼刑事は、個人的に調べることにするのでした。
そんな時、東京の警視庁から刑事がやってきます。
名は三原紀一といい、警視庁捜査二課の警部補で、二課は知能犯罪を扱うところだった。
いま東京では汚職事件の捜査が進行していて、新聞では大騒ぎだったのです。
自〇した男は佐山憲一といい役所で課長補佐をしていたが、三原の話では汚職事件の実質中心的人物で、
男が〇んだことで、喜んでいる人物達がたくさんいるらしかった。
どうやら三原は佐山の〇を、疑っているらしかった。
東京に帰り、捜査を続ける三原刑事。
佐山や一緒に亡くなった女性・お時の事を調べていくうちに、
佐山と仕事の上で面識があった、安田辰朗の名が浮かびあがるのでした。
佐山とお時は本当に心中したのか、それとも他〇か?
もし二人が〇んだ時、安田が福岡にいたのなら、どうやって次の日、札幌にいることができたのか?
三原刑事はどうやって、安田のアリバイをくずすのか?
福岡と札幌、三原刑事の前には、途方もない距離と時間の壁が立ちはだかるのでした。
【解説】
この物語は松本清張の代表作の一つで、この作品から社会派ミステリーが始まりました。
これは昭和32年に発表されたものなので、現代とは交通事情が激変していて、
感覚的にずいぶんずれがあります。
この時代では、東京~博多間が17時間ほどかかりますが、今では新幹線で5時間ですみ、
連絡方法も電話と今ではほとんど使われなくなった電報が、多用されています。
ずいぶん古臭いと思う方もいると思いますが、
昭和30年前半の生活をうかがうことができ、これはこれで面白いものです。
