いつものように、適当な場所でくつろいでいたノアに、おさげの女の子がまとわりついていた。




「オレに懐くな。さくっと“追放”するぞ てん」


てんと呼ばれた女の子は、怒りアクションでこう言った。



「言っても出来なくせに! ノアの『追放するぞ』攻撃なんて、今日で、えっと・・・ 数え切れないんだからっ」

ぷんぷんと、てんは怒り続けている。




そんなてんを気にする事無く、ノアは良い事を思いついたというように、頭の上に電球マークを出し、こんな提案をした。




「てん、ヒマなおまえに任務を与えよう」




「え! 任務ってなあに?」

てんは嬉しそうにノアの目の前で飛び跳ねた。




「イヴを探せ」

てんは、飛び跳ねるのを止めて、ノアに背を向けた。




「・・・ イヴは寝てるもん、ノアだって知ってるじゃない。イヴはこの世界が嫌になって眠っちゃったんだもん」




「てんをイヤになって、じゃないのか? 」

ノアはスマイルを浮かべ、てんを挑発した。





「・・・ え。ちがうよ、てん、嫌われてないもん、イヴはいつも優しくしてくれてるもんね」



「“ ち  が  う ぞ ”優しくしてくれた、だ。今は会ってないだろ?  過去形だ」



「そうだけど! てん、嫌われてないよね?」

さっきの元気が噓のようにてんは肩を落とし、ノアに訊ねた。



「さあ? 」



「イヴは・・・ この世界に居るてんも嫌になっちゃったの? 」



「さあな。自分で確かめろ」

ニヤニヤと、スマイルを浮かべるノア。




「だって! イヴは眠ってるんだからっ」

すると、ノアはニヤニヤ笑いを引っ込めて、まじめな表情でこう言った。





「イヴはな、姿を変えたんだ」




「え?  てん、ノアが何を言ってるかわからないよ」




「お前は、これから色んなピグ達と接触し、イヴが宿ったピグを見つけ、イヴを覚醒させるんだ」



「ダメだよ、出来ないよ・・・ てんは、ココに居るピグ達と仲良くなんて出来ない」




「じゃあ、オレが先にイヴを見つけて・・・ 目覚める前に追放だ」




「出来ないもん! 前にイヴとアダムは追放出来ないって、ノア言ったじゃないさ」




「そうだ、だから目覚める前に・・・ だ」



「なんで、イヴを追放するのさ?」




「邪魔なんだ」

またもや例のスマイルを浮かべるノアだった。




てんは、震えながらノアに言う。

「見つけたら追放するの?  じゃ、てん、探さないよ」




「よく聞けよ、てん。覚醒させたら追放出来ねーんだって。お前の腕次第だ」



「てんがイヴを守るの? 」

てんは、また飛び跳ねながらそう言った。




「ああ、そうともいうー」



「うんw」




「じゃ、任務にはパートナーが必要だ。そして、おまえは協調性がない。そこでだ!オレがちょうどいいピグを見つけた。そのピグと力を合わせて、イヴを探せ」



「え・・・ なにそれ、めっどちぃ」




「つべこべいうな。オレの暇つぶしだ」

お得意のスマイルも浮かべず、ノアはそうつぶやいたのだった 。















キンコンカンコーン

キンコンカンコーン





「では、明日から夏休みです、みんな怪我せんように元気で過ごすんよ」




ナオヤは、まるで夜逃げでもするかの大荷物で、学校からの帰り道をニヤけながら歩いていた。


百日草は育ち過ぎて、ナオヤの頭の上で揺れている。



明日からナニしよー


ゲームやろ?

USJやろ?

うっはーいそがしなー









「ただいまー」



かあちゃんは、お仕事でナオヤの帰る時間に居る事は少ない。

でもナオヤは「ただいまー」と、言う事にしている。

時々、お仕事をさぼったかあちゃんが居る場合があるからだ。



かあちゃんがいつも陣取るパソコンのある廊下を覗く


うむ・・・ いないか





少しがっかりだけど、今はそれどころじゃない


〈明日から夏休み〉



ナオヤは夏休みの日にちを数え、またニヤニヤしてしまう


「とりあえず、ゲーム!!!!」

ナオヤはソファに大荷物をおろしたままの姿勢で、ゲームの電源を入れたのだった。







「ただいまー」



かあちゃん帰って来た。




「ナオちゃん! 電気も点けんで、目悪くなるやろ」


すっかり暗くなった室内に電気が灯る





「おかえりー」


ナオヤは、かあちゃんにはおかまいなく、ゲームを続ける




「ナオヤ! 聞いてるんか!」


かあちゃん、今日は機嫌悪いんかな




「だって、明日っから夏休みなん!!」





すると、かあちゃんは、心の底から羨ましそうに

「うらやまし! かあちゃんも休みたいなぁ」と、言った



ナオヤは「うへへ」と、笑って、かあちゃんに手を振った


すると、かあちゃんがこんな事をいった




「ねぇ、ナオちゃんパソコン欲しいんよね? 」



ナオヤはゲームから目を離し、思わずかあちゃんの顔をみた


「欲しい! 」



「じゃ、明日から夏休みいっぱい、毎日ブログで日記を更新したら買ってあげよう」




「ブログ?」





「うんとね、電子絵日記みたいなもんやね」





電子絵日記・・・ ?





かぁちゃんのこの提案がなければ、ナオヤは5年生の夏休みを普通の5年生の夏休み通りに送れたのだろう・・・しかし。





「おっけー! 約束だかんね! 」




と、満面の笑顔でAnother world(別の世界)の扉を開いたナオヤだった。











つづく     Another side<番外編>