<館長の独り言>

世界的なジン(酒)研究者が支持しない
シルビウス説を
何故日本は信じ続けるのか?

ジュニパー(ネズの実)の重要性は
エジプトのミイラに使われていた
ことからも明らかで、

幾つかのジンの本にもあるように
百年戦争時代のペストの薬として
ジンは登場したというのが
世界的通説になりつつある。

シルビウス自体は実在したようだが、
この話はどちらかいうと、
彼がどうこうと言うよりも
そこがオランダだったこと、
そしてライデン大学だったことが
重要なのだと思う。

それは蒸留を聖職者意外の人間が
悪戯にすることを禁じたカトリックでない
プロテスタントの国だったこと、

そしてライデン大学が
初の神学がない大学だったこと、
そしてオランダはヨーロッパの銅を
牛耳っていたこと、

さらにはユグノー等(プロテスタント)が
積極的に蒸留を始めていたのが、
丁度17世紀前半だったこと、
他にもナントの勅令破棄(フランス)によって
ブランデーの確保が難しくなったなどの
時代背景があったとも言える。

最終的には、何を信じるにせよ、
その史実の背景にある他の史実にも
目を向けると、その話の真実性や盲点、
納得度が見えてきて面白い。

昨日みた「ラ・マンチャの男」の中に
「事実は真実の敵である」という
なかなか深い台詞があったが、
皆が言う事実とやらを一度疑ってかかるのも
勉強法としては面白いのではないだろうか?