ケイデンヘッドの
スペイン産ラム酒と
シェリー樽熟成の
カリビアンラム酒
入荷しました。
スペインのラム酒って言うと
「スペインにもラム酒あるんですね?」
とか
「スペインもラム酒を
作るようになったなんですか?」
とか聞かれますが
いえいえ待ってください!
ラム酒の原材料は砂糖黍ですよね?
砂糖黍の原産国知ってますか?
インド、インドネシア、中国ですよ。
そう
カリブや南米には元々
砂糖黍は一本だって無かったんです!
砂糖黍はアジアから
イスラム教圏の中東へ伝わり
彼らの移動と富に
北アフリカに広がり
そこから
スペインのアンダルシア地方
地中海のキプロス島や
シチリア島に
砂糖黍が伝わり
アレキサンドリア(エジプト)で
発達した蒸留技術が合わさって
現在のラムの原型が作られました。
ところが
コロンブス*による新大陸発見以後
ブラジルの発見とポルトガルの入植によって
(*実は砂糖商人でもあった)
スペイン領カリブ海一体や
ブラジルが
地中海に変わる
大砂糖黍産地として変貌
現地の奴隷という
安価な労働力によって
スペインや地中海の砂糖の価格は暴落
加えて
カリブ海産や
ブラジル産の砂糖を輸入するにあたり
交易の行き帰りの
船に積まれる交易品の重さや
各々の商品の価値を上げるため
スペインにおいては
17世紀頃に国策として
砂糖黍栽培の縮小が命じられ
結果、徐々に消滅…
今ではあまり聞かれないものに
なってしなったのです。
ただスペインの砂糖黍栽培が
全てなくなったわけではなく
一部では砂糖黍の栽培も
ラム酒蒸留も行われており
スペイン産のラムも
今も作り続けられています。
現在スペイン産ラムで
一番有名なのは
カナリア諸島産のものですが
東のカタルーニャや
ヴァレンシアの他
アンダルシアでは
セヴィリアやグラナダでも
幾つかの蒸留所が稼働しています。
上記写真左のものは
ケイデンヘッド社による
スペイン産ラム酒の17年もの
(蒸留所不明だが
Produce of Spainとある)
写真右のものは
ラム酒自体はカリビアンラム酒で
ガイアナ産+バルバドス産の5年熟成を
スペインのヘレスにある
ウィリアムス&ハンバート社にて
古いシェリー樽(リアル樽)にて
3年熟成させた8年ものです。
因みにカリビアンラム酒の
シェリー樽熟成と言うのは
別段新しいものではなく
かつてはシェリー酒が樽に入ったまま
カリブの島々に送られて
空いた樽にラム酒を詰めて
スペインに帰ってくる…という
交易時代からあったものです。
最後に余談ながら
現在は砂糖黍の栽培も
ラム酒蒸留所もないコルドバでは
かつての名残りとして
「茄子のフリットの糖蜜がけ」
Berenjenas fritas crujientes
というメニューがあり
その昔、砂糖黍栽培と
その後の精糖の過程で生じた糖蜜を
かけるという文化だけが残っています。
ただ店によっては
糖蜜の代わりに蜂蜜や
ペドロヒメネスを煮詰めた
アロペなどを用いる店もあります。
気になる方がコルドバに行かれた際
是非食べてみてください^_^