beef

このローストされたお肉!
どうみても美味しそうですよね!!


見ての通り牛肉を、
フライパンで表面に焼色をつけてから
オーブンで中までじっくり火を入れたものですね。


でも、ここで考えてみてください。

「加熱」
について。


「宇宙には酸素がない」
のは中学生でも知っている話ですね。

そして、
「酸素がないと燃焼が起こらない」
というのは高校生でも知ってる話ですね。

とすると、
このお肉は酸素のある場所で起こった燃焼によって
生肉が変化した状態と言えますね。

この現象をなんと言うかというと
「酸化」
です。


もちろん「酸化」には広い意味があります。


少し前までは、多くのワイン好きの方は、
「シェリー酒を酸化したワインだ」
とシェリーを低く評価してきました。


確かに化学的には間違いではないですが、
そういう表現で言うなら、
「ローストビーフは酸化した肉だ」
と言っているのと同じなんですね。


皮肉を言えば、
シェリーを低く評価するワイン好きの方に限って
ワインを飲む時、グラスをガンガン回していらっしゃる。

いえいえ、あのそれって「酸化行為」では?w

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ま、冗談はさておき、

「酸化」という現象は非常に面白いです。

我々人間も酸素を吸っている以上、
常に酸化しているんですものね。

でも人間には還元能力というものが備わっているから
生きて、生きながらえていけるんですね。

ただ、年と共にその機能は低下していく。
それを「老化」と呼んでいますね。


そういった背景から、
より人間を酸化させる活性酸素を奪うのに
タンニンがいいだの、
カテキンがいいだの、
抗酸化ビタミン剤がいいだの言うわけですね。

最近、物議をかましている水素水も同じような話から出たもの。

こう聞くと、焼いた肉やシェリーは
飲まない方がいいと思った方がいたらそれは大違いです。

加熱していないものをとっても、
結局は胃や腸で酸化が起こり、
逆に加熱を経ていないものは、
胃腸に負担を強いて、
かえって自己の酸化を進める可能性もありますから、

実は「酸化」と言わずに「熟成」と言い換えた
多くのものは、我々人類の身体には優しいんです。


何せ「酸化済み」なわけですから。
調理は、他の余計な部分を酸化させるリスク回避した
人類の英知とでもいいましょうか。


類人猿から人間への進化は加熱と肉食が一番の要因で、
それを経たからこそ脳の重量も増加し、
人へと進化できたとも言えるでしょう。

ま、「進化は酸化との共存が生んだ」と言ったら
言い過ぎかもしれませんが。。。。w

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因みに我々人類の血液は赤いですが、
これは鉄分によるものですが、
鉄分は酸素を運んでくれる大事な存在。

つまり血液が流れているということは、
我々は常に体内から酸化し続けてるんですね。

でもね、我々人類は植物と違って
酸素を取り入れることで生きていくよう進化してきたので、
酸素や酸化と上手く付き合いながら
還元的生活を送っていくんですね。

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なので
「シェリー酒を酸化したワイン」
などというネガティブな言い方はおやめなさい。

それは、
「酸化を何も理解していません」
と自己主張しているようなものですからね。