sherry museum

ヒメネス・スピノラ社
【リコール・デ・ブランデー】


非常に味わいと香りが良く
個人的にも気に入っているこのボトル達

輸入元の裏ラベルやネット上では
「シェリー・ブランデー」
とされていますが、
これはシェリー・ブランデーではありません。

輸入業者の営業の方ともやりとりしましたが、
正直言うと、生産者の話を鵜呑みにした感があり
なかなか不明瞭でした。。。

念の為と思い輸入業者の案内と
輸入時の分析表のコピーもいただきました。

このブランデーに関しては数人の方々から
ご連絡・問い合わせをいただいてたのですが、
いささか可笑しい点があり、なるほど原因が分かりました。

どこから手をつけていいか分かりませんが、
まず、先に述べたよう、これはブランデーではありません。

その証拠にラベルにはLiqvor de Brandyとあり、
またシェリー・ブランデーの原産地呼称的にも
シェリー・ブランデーを名乗ることは出来ません。

では何者なのか?ということですが、
どちらかと言うとリキュールの一種になります。

生産者に直接アナウンスしていないので、
確実なことは申せませんが、
現地から送られてきたという説明文には不可解な部分が多いです。

まず完全天日干しのペドロ・ヒメネスを用いてとありますが、
これはいわゆるシェリー酒としてのペドロ・ヒメネスなら
問題ない説明になりますが、
いざ蒸留となるとそうはいきません。

ペドロ・ヒメネス事態の天日干し光景(ソレオ)や
圧搾(プレンサ)は昔現地で見た(他社)ことがありますが
かなりドロドロした搾汁なのです。

蒸留というものを知っている人間なら
少しの想像力で気づくと思いますが、
この様な干し葡萄の液体は
発酵するのも難しいですし
残糖が多いまま蒸留するのはほぼ不可能です。

加えて、どんな果汁であれ、
ワインであれ、
蒸留して冷却した液体に
糖分が残っているということもあり得ません。

一方、この商品には1リッター当たり89g-104gの糖分がありますが、
これは甘い果汁が足されない限り生まれない糖分ですので、
簡単に言えば、ブランデーに大量の果汁が足された
ブランデーとリキュールの中間的商品だと言えます。

次に案内文の「スペインの一般的な樽材は栗樽で、
内戦以後アメリカン・オークになった」とする説明は
全く不可解で意味が不明です。

ただ、この商品に栗樽が使われているのは
香味からも明らかで、裏ラベルにも
Tonel de castano(栗の大樽)とあります。

ただ念のために書いておきますと、
シェリーもシェリー・ブランデーも昔からアメリカン・オークです。

またペドロ・ヒメネスを用いたブランデーは
モンティージャ(地方)にいくらでもありますし、

シェリー・ブランデーの原料も実はパロミノは少量しか用いられず、
そのほとんどがアイレン・ブランカで、
酒精強化用蒸留酒も同じものを使いますので
より厳密な言い方をすればシェリー酒事態がパロミノ100%でないともいえます。

他にも現地レターには確認すべき幾つかの点がありますが、
まずは、問い合わせが多いので、
取り急ぎここまでの説明でアップしておきます。

最後に誤解のないように言っておきますと、
このお酒はお酒として非常に美味しく当店でも人気のあるお酒です。

ただ、当店はシェリー・ブランデーが現在30種以上あり、
既存のものとは全く違う商品で誤解をされている方も多く、
同業の方々や、お客様より問い合わせが多いため、
中瀬解説文としてブログにいたしました。

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同社はほかに
・Bodegas Ximénez-Spínola Cigars Club No. 1
・Bodegas Ximénez-Spínola Cigars Club No. 2
・Bodegas Ximénez-Spínola Cigars Club No. 3
などのブランデーもリリースしています。