第5回「お酒の発酵とは?」
に引き続き第6回は


by Distilling History

シェリー酒入門講座
第6回「醸造酒と蒸留酒の違いとは?」


前回、発酵とは
「甘いものを酵母が食べて生みだしたアルコールを酒とよぶ」
「酸素が薄い状態で酵母が糖分を食べると酒になる」

というもので、
「発酵」によって造られたお酒を総称して「醸造酒」と呼び
それには
穀物酒のビール、日本酒
果実酒のワイン、シードル

があるということを書きましたが、

これらのお酒を蒸留したらどうなるのでしょうか?
それ以前に
蒸留とは何なのでしょうか?」

「蒸」とは「蒸発」「蒸気」「蒸す」などの言葉が示す通り、
「立ち上る気体」やその様子を示したものですね。

「留」「溜」とも書き、細かくは
「留」は「惑星の運動が順行から逆行へ一時停止する」
「溜」は「水が溜まる」「液体が滴る様」
という意味があり、


お酒の製造工程的には「溜」を使うのが有る意味好ましいのですが、
略して「留」を使うのが普通となっています。

蛇足ながら化学的概念が発達する以前である古代に考えられていた
蒸留の概念では蒸留は一つの自然の摂理によっておこるもので、
占星術などとも結びつけられていたことを考えると、
「留」の字を使うのもなかなか神秘的かもしれません。

さて、この漢字から解るのは
何か蒸発した気体が止められた、もしくは逆流した様を
蒸留と言い表していることが分かります。


そこで次にくるのは
「どんな気体があるのか?」
ですが、これは先に挙げてきた
ビール、日本酒、ワイン、シードルを
加熱して出てきた蒸気がそれにあたります。


これらのお酒は発酵によって生まれたアルコール度数に違いこそあれど、
皆、水とアルコール
さらに糖分や糖質、ミネラルなど
様々なものを含みます。


通常、食べ物の調理過程でお湯を沸かすとなると
温度が摂氏100℃で水は気体になり、
いわゆる蒸発をしていきますが、

アルコール、中で飲料酒の主成分となる
エタノール/エチルアルコールの沸点は78.3℃
となっているので、

これらが混ざった状態で過熱をすると
アルコールが先に蒸発をはじめます。

この蒸留を行う機械のことを蒸留機と呼び、
この蒸留機の中で先に蒸発を始めたアルコールは
途中で徐々に冷やされて再び液体に戻り、

その昔「命の水」と称された腐ることのない
透明な液体へと姿を変えるのです。


こうして
「 ビ ー ル 」*1は「ウイスキー」へ
「 日 本 酒 」は「 焼 酎 」*2
「 ワ イ ン 」は「ブランデー」へ
「シードル」は「アップル・ブランデー」へと

変化していきます。


*1:この場合、ホップなどは含みません。
*2:米以外の素材もあります。


さて、この辺りでシェリーを造る為に
必要なものが揃ったようなので、
次回は「シェリーを造るワインとブランデーとは?」
について書きたいと思います。