洋酒に見られるイニシャリズム「N.P.U」とは？

何軒か検索があったロマテ社のアモンティリャードにもある
【Ｎ.Ｐ.Ｕ】
について以前書いたものに加筆してご紹介します。

ＮＰＵとはＮＰＶとも書きますが、
ノン･プルス･ウルトラというラテン語です。

ノンは「否定」、「～でない」
プルスは現代で言う「＋」で、「もっと～」
ウルトラは「果て」や「最後」、「最も」の意味があります。

直接的な意味は 「これ以上先は行ってはいけない」
「これ以上先はない」などの意味があります。
転じて「これ以上のものはない」
つまり「最高」という意味があります。

なので、いい酒を表すモノグラムとして名称に使われてるんですね。

ですから、上記のアモンティリャード･シェリーの他
同名の

カヴァ「コドルニュＮＰＵ」スペインや


シャンパン「ブルーノ･パイヤールＮＰＵ」フランス、


ウイスキー「ジョン･デュワー･ＮＰＵ」スコットランド


ラム「コルバ・ＮＰＵ」ジャマイカ
＊このラムはアブサン専門家の片野さんが教えて下さったので加えておきます。

などがあります/ありました。

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元は神話のヘラクレスの苦行にも出てくる二つの柱/地中海の出口、

今で言う
「イベリア半島のジブラルタル」
と
「対岸のセウタ」
を意味しています。

向う：地中海

左：ジブラルタル（イベリア）　　手前：大西洋　　右：セウタ（アフリカ）
　
この柱はアンダルシア州旗やスペイン国旗に描かれています。



地中海を背に大西洋を望むと、大昔の船は容易に大西洋に行けませんでした。
ジブラルタルの流れ[大西洋→地中海]があまりにも速かったからです。
で、向こうには神の国があると言われ、 それをＮＰＵと言ったのです。

ちなみに、スペインはコロンブスによって向こう側へ行ったので、
現在のスペイン国旗の中の紋章の柱には
Ｎが無いＰＵ（ＰＶ）と書かれています。



またPU(PV)は「もっと先へ！」という意味でカルロス一世の標語でもあります。
今度国旗を見る機会があったら見てみてくださいネ。

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最後に余談ですが、その向うの国、
アメリカ合衆国で採用された「通貨ドル/ダラー」（元オランダ語）を
表すマークとして使われたのは二つの柱に「Ｓ」ではなく「帯」をまとわせた
「＄」（現在は一本が一般的）になりました。



余談ついでに「ユーロ」とは「ヨーロッパ」が語源ですが、
ヨーロッパの本来の意味は「西の果て」、
つまりスペインのあるイベリア半島を意味します。


そしてそのマークにはやはり二本の柱が描かれているのです…

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補足：ＮＰＵアモンティリャードは以前から日本に輸入されていましたが、
４，５年ほど前に味が酷く落ち、度数も下がったことがありました。
個人的に気にいっていただけに酷く落胆し、ＮＰＵの名の相応しくないと
二度も商社に送り返し、現地調査を依頼しました。

当初現地では「何も変えていない」と言ってはいたんですが、
二度も送り返したためか現地からはそんな事を言うのは「誰だ？」
という話になったそうです・・・

そこで何度かロマテに行っている私（中瀬）だという事が解り、先方も納得ｗ
「確かに造り方を変えてしまったので昔に戻します」との回答。
次のロットからは味わいは度数も味わいも
ＮＰＵに相応しい香り高く魅力的なものになりました。

なので、今でも僕は店でも自宅でも愛飲しています。
これからも変わらず美味しくＮＰＵに相応しい味わいが継続しますように。