$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-sherry

ルスタウ社の代名詞的に語られる
【アルマセニスタ・シェリー】
Almacenista Sherry


アルマセニスタとは、
倉庫を意味するアルマセンAlmacenという言葉から派生したもので、
直訳すると倉庫業者や卸売業者、デパートの店員という意味になりますが、
アルマセンそのものは、単に倉庫と言う意味で
ポルトガルのマディラで語られるアルマゼンAlmazémとも同義語です。


シェリーの場合は、基本的に
自ら瓶詰めしない、また一般販売をしない
小規模貯蔵免許者/社を指します。


これは言ってみれば免許状の区分でもあり、
そのなり手は、趣味や実益、
中には借金の形にシェリーを得たものなど、
多岐にわたります。

彼らは基本、葡萄栽培や醸造そのものは行わず、
シェリーのソレラを持ち続けていることから、
英語では「ストック・ホルダー」とも言われます。


先に出たルスタウ社の創始者も、
かつてはこのアルマセニスタの一人でしたが、
免許をさらに上のものへと更新、会社としました。

会社をしばらくして後、
アルマセニスタのシェリーを桶買いして、
手を加えず世界に紹介することを思いつきます。
そこで、ルスタウ・アルマセニスタという商標で出願、
これが(何故か)通ります。

以後、それは海外のマーケットで
シェリー界のグラン・クリュとして紹介され脚光を浴びます。

今でこそブレンドをしないシェリーは珍しくありませんが、
今でも英国などで一般に消費されていたシェリーの多くは、
ミディアム・アモンティリャードやクリームが主です。

ウイスキーで言うとブレンデッド・ウイスキーしかなかった市場に、
シングル・モルトを紹介したようなものでした。


マーケティングに長けていた彼らは、
クラシカルなラベルに生産者と
希少性を表す目的でソレラ樽の数を書き入れました。
これはそれまでどのボデガでもしていなかった方法でした。

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Q:ブレンドって?
A:シェリーにおけるブレンドとは
アモンティリャードやオロロソに
ペドロ・ヒメネスなどをブレンドすることを意味します。

Q:ソレラは?
A:ソレラはバッティングです。

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ここで今一度上記のラベルを持ちいて、
ルスタウ社のアルマセニスタについて解説しましょう。
(注:現在、この商品はありません。)

まずLustau Almacenista Sherryですが、
ルスタウ・アルマセニスタ(R)シェリー
これは先に述べました通り商標(R)登録されていますから、
他のボデガ/会社は用いることが出来ません。

次にProduce of Spainですが、
製造はスペイン
これはシェリーを勉強している人には常識かもしれませんが、
歴史的には多くの、また未だ国際的に
原産地呼称を守る義務のない国にはイミテーションが存在する為、
そもそも、そして、わざわざスペイン産と書く必要があります。

そしてOloroso Viejo de Jerez 1/3ですが、
オロロソ・ヴィエホ・デ・ヘレス 1/3
これはオロロソという製法の
ヴィエホ、つまり古いものの
ヘレス産で出荷可能なソレラ樽の数が3樽を意味します。

ソレラ・システム(異年混合熟成法)で熟成するシェリーには、
開始年やソレラの数、抜き注ぎのサイクル、
さらには熟成環境(産地)によって熟成感が様々なので
ヴィエホの明確な定義はありません。
3樽とあっても熟成途上樽であるクリアデラの数はこの場合示されません。
クリアデラは同じ蔵(倉庫)にある場合や、
必要に応じて他の蔵から手配する場合などあり様々です。

そしてMa. Rosario Benitez Gironですが、
マリア・ロサリオ・ベニテス・ヒロン
これがこのシェリーの貯蔵者個人の名前です。
時に杜氏的言われ方をしますが、その意味合いは同じではなく、
アルマセニスタによって、その立場は千差万別ですので
杜氏とするのはいささか問題かもしれません。

Emilio Lustau
エミリオ・ルスタウ
これは言うまでもなく
この商品プロデュースであるルスタウ社の名称。

最後のJerez de la Frontera
ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ
この会社の所在地でもあります。

枠外のHatta Shouten Ltd
当時から現在までアルマセニスタの
日本の輸入元の一つである八田商店

そしてEuropvin Chistopher Cannan
ボルドーに本社を置く問屋的会社(1978-)。

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現在はこんなラベルです。
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かつて1998年にもアルマセニスタのアモンティリャードが
漫画「レモンハート」の14巻に紹介されて、
バーなどではアルマセニスタを置く店が増えましたねw

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Manga "Bar Lemon Heart" 1998, 14-179-92p


2013年現在、ルスタウ社で取扱しているアルマセニスタ。

いずれも素晴らしいストックばかりです!

<<<<<Jerez de la Frontera>>>>>
ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ
Juan Garcia Jarana
フアン・ガルシア・ハラナ
Miguel Funtades Florido
ミゲル・フンタデス・フロリド
Vides
ヴィデス

<<<<<Sanlucar de Barrameda>>>>>
サンルーカル・デ・バラメダ
Manuel Cuevas Jurado
マヌエル・クエヴァス・フラド

<<<<<Puerto de Santa Maria>>>>>
プエルト・デ・サンタ・マリア
Jose de la Cuesta
ホセ・デ・ラ・クエスタ
Jose Luiz Gonzalez Obregon
ホセ・ルイス・ゴンサレス・オブレゴン

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もちろん、他にもアルマセニスタ登録のボデガ(貯蔵所)は沢山あります。

また以下は、かつてルスタウ社のアルマセニスタ・シリーズとして紹介され
以後、免許を変えオリジナル・ブランドとして販売されているボデガです。

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Viuda de Antonio Borrego / El Maestro Sierra
かつてアントニオ・ボレゴの名でルスタウ社に桶売りもしていた
エル・マエストロ・シエラのオロロソ。
(2013年現在購入可能です。)

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Pirar Aranda y Latorre
⇒ Alvaro Domecq
かつてピラール・アランダの名でルスタウ社に桶売りもしていた。
現在はアルヴァロ・ドメック社になっている。
*この商品は英国BB&R向けのラベル。
(2013年現在は販売しておりません。)

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以後、他社さんでは、対抗するかの如く
ブレンドしないシェリーを多く紹介するようになった他、
サクリスティーアなどの名称で希少性の高いシェリーをリリース。
最近ではボトラーズのエキポ・ナヴァソスなどが、
興味深いシェリーを多く出しています。

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