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Palomino

日々シェリーをお勧めしていると、
最初は単に味が好きだったはずなのに、
説明しながら、そして質問されながら
様々な疑問が日々増えていき、
どこか気になっていきます…

それはどこで働いていても、
意識の高い人なら
自然に起きる現象だと思いますw

昔はとりあえず本を買うだったのが
今はとりあえずググる時代になったのは
やや悲しいですが、
まぁそれでも意識の創出が
資格試験みたいなものでしか作れない昨今、
純粋に興味を持って下さる方が数人でも
出てきてくれるのは
心から嬉しい話です!

*****

都内近郊には疑問が溜まると、
ノートを片手に聞く気満々で
オジャリア銀座のカウンターに来る
(↑2020年5月閉店)
勉強熱心な方々がいますw
(2014年より中瀬は独立五反田)
昨日もそんな方がいらっしゃいました。

今回の彼の最大の興味は
パロ・コルタドだったようですが、
その話はまたいずれ…ということで、
さておき、

もう一つの興味が
パロミノとペドロ・ヒメネスに関する
ざっくりした疑問でした。

モンティージャではペドロ・ヒメネスで
フィノやアモンティリャードを造るのですか?


これは、よくある質問の一つですね。

そして、
サルデーニャにもシェリーがある
と聞いたのですが・・・

これはいささか、マイナーな質問ですが、
まぁ質問としては、ありますねw

***

今回はこの辺について少しお話しましょう。

まず、今回の題にもあげた
品種についてですが、

これは拙著にも書いた話ですが、
パロミノがシェリーに向いている品種、
指定品種というのは言うまでも無いのですが、
歴史的事実としては、
シェリーに向いた品種を選別した結果、
特にフィロクセラ禍以降の選別の結果、
ヘレスにおいては
パロミノに落ち着いたというのが史実です。

で、ヘレスにおいては確かに
ペドロ・ヒメネスは極甘口用に
用いられていますが、
この品種自体が極甘口用という訳ではないので、
スティル・ワインを含め、
フィノも、アモンティリャードも
オロロソも造ることは可能ですし、
造られています。

因みに、
ヘレスの御隣のDOウエルバでは、
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サレマという品種を用いるのが伝統的ですし、

DOこそ無いですが17世紀から造り続けている
セヴィージャのボデガで用いる品種は
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ガリード・フィノというのを使っています。

そういえば、
以前、SC時代にスポットで輸入した、
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モスカテルで造るオロロソなんてのもありましたねw
これはオロロソとモスカテルの香りが融合していて美味かったw

要はパロミノでなければいけない理由は
ないんです。

ただ、ペドロ・ヒメネス製のものにも質の高いものがあるものの、
平均値はシェリーの方がやや高いですし、
サレマやガリード・フィノは、
やはり、少し落ちる気がします。。。

結果、パロミノで造られたものの評価が
世界的にも高いのはしょうがない事実…
ということに、
僕自身、各地域のものを試飲して気付きましたw

興味のある方は、機会をつくって
是非、色々試してみて下さい!!

*****

次にサルデーニャのシェリーですが、
まず、シェリーというのは
スペインのヘレスのDOなので、
サルデーニャのものは
シェリーとは呼べません。

ま、面倒臭い話はさておき、サルデーニャには
ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ
というDOがあり、
シェリー同様のフロールが発生します。

このワインの話しはまたいずれ…にしますが、
シェリー特有と言われがちなフロールは、
それそのものは特異な存在ではなく、
条件さえ揃えば何処にでも発生しうるもので、
日本では糠漬けやタクアンなど
でも知られています。

そもそもヨーロッパにおいても
プリニウスが著書の中で
フロールについて言及していますので、
少なくとも2000年前から
知られていたことになります。

では何故、特有なのかというと、
まず、現在のワインの多くは
フロールがワインに着く事を好まないからです。
これは例えばシャルドネや
リースリングなどが持つ品種特性と
フロールが着いたことによって生まれる
影響とが多くの場合、
相性が良くないからです。

逆にフロールを着けて熟成するワインは、
それを有用にし、
特徴としたという意味で
特有なんですね。

その意味において、
フロール系のワインとなると、
シェリーやモンティージャ、
フランスのバンジョーヌや
イタリアの
ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノなど、
その数は決して多くはないんですね…

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SC時代に、この辺の
比較試飲会をやりましたが、
昔以上に興味が高まってきた昨今、
またこういう比較試飲会も
やってみるのもイイですねw

*DO:原産地呼称