Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-tonic

2012年6月14日
武蔵屋さん主催
輸入元ウィスク・イーによる
【フィーバーツリー
プレミアム・トニック・ウォーター
セミナー】

行ってきました。

キナの木を意味するという「フィーバーツリー」という名のこの会社は
2004年、英国はロンドンに創業した新しい会社だそうで、
早くからその製品は話題になっていたそうですが、
恥ずかしながら存じ上げませんでしたw


説明の中にもありましたが、
ジン・トニックにようにトニックやソーダで割って飲むカクテルは
確かに多いですね。

そのミキサー(割り材)に注目・特化・改革しているのがこの会社のウリ!

既に世界中で支持を集め、主催者の酒屋さんでも酒より多い量が動いており、
既に欠品間近だそうな!すごい人気ですねぇ~!

同社のキニーネはアフリカのコンゴ産だそうで、
ナイロビからひたすら時間をかけて行くような奥地だとか…
他にもシトラス系の8つのフレーバーにも力を入れて完成したのが、
今回一押しの【プレミアム・インディアン・トニック・ウォーター】だそうです。
*8つのフレーバーの詳細は企業秘密だそうです。質疑応答より

確かに、香り、味わい、炭酸感は素晴らしく、
なにより本物のキニーネが入っているというのが最大のウリ!

これに関しては気になることがあったので質問しようかと思ってましたら、
同じ疑問を別の方が投げかけていましたが、これは日本側の問題ということで、
日本のスタッフの方がお応えになっていました。

聞けば、2年以上かけて国(厚生省?)と交渉して
やっと輸入許可までこぎつけたそうで…
お疲れさまでした!それはそれで素晴らしい!

トニック以外にはジンジャービアとソーダを試飲。
ソーダはまぁイイとしてジンジャービアもイイ感じでした!
特にジンジャービアなんかはお酒と関係ない
Caféやエステ系のお店で女子ウケしそうな感じでしたし…

$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-tonic

セミナー後には実際にお酒で割ったのもどうぞ的Barが開設され、
数杯テイスティングしながら、しばし友人・知人同業さん達と話しも出来ました。

あるバーテンダーさんは既に使用&結構試したらしく、
相性のいいジンとそうでないジンがあると仰っていましたが、
それはそれで面白い話ですね…気になります…

終わってから、今日は質問が無かったですねぇ?wとスタッフの方々に
ニヤニヤされながら言われましたが、まぁ予習不足と、
興味のあることがセミナーとは的外れなので止めておきましたw

*****

気になったのはフィーバー・ツリーという名前、
キナの木となっていますが、調べたらやはり直訳ではないんですね。
ずっとシンチョナか、ジュスウィット・バークで覚えていたので…w

と、ジュスウィットとあるように
ヨーロッパにつたえたのはイエズス会で、最初に伝わったのはスペインです。

ただ、当時(17世紀)の英国でも
クロムウェルがトニックを飲むことを好まなかった…とか、
薬剤師R.Tや内科医T.Sが秘密でマラリア治療に用いていたともあるので、
早くから英国にも伝わっていたのでしょう。。。

ちなみに、カトリック圏では、
しばらく異教徒の薬として、表立っては受けいれず、
英国でも見つかったら破門になったとか…

まともに認識され始めるのは18世紀、博物学者のリンネの時代…
シンチョナという名前はこの頃のあるエピーソードからついた名前の名残…

18世紀といえば啓蒙思想の時代、
神学より化学みたいなグレーな時代ですね・・・

度々マラリアが流行したヨーロッパでは、
キニーネ入りのワインやリキュールが造られるようになりました。
ベルモット(全てではない)や、デュボネなんかは有名ですよね。
スペインだとカタルーニャのパロ(リキュール)とか…

医学的にある程度明らかになったのは19世紀初頭、
フランス人のF.Mが動物実験で明らかにしたんですが、
皮肉なことにこのF.Mさん、動物実験のやり過ぎで、
動物愛護運動のきっかけを生んでしまったという…
なんとも…はぁ…

その後、フランスで次々に研究報告がなされ、
キニーネが単離されたのが1820年でした・・・

で、セミナーでも言っていましたが、
この頃のインド駐留の英国軍がマラリア予防に
トニック・ウォーター飲むようになり、それが伝播していったようです。

英国軍と言ってもこの時にインドと派手にドンパチやっていた訳ではなく、
占領地管理と東インド会社の護衛みたいな感じでしょう…


インドではその気候からワインの醸造には向いていませんし、
わざわざIPAのような一種の強化エール(ビール)を運んでいたくらいですから、
ワインやお酒に溶かして造るという訳にもいかなかったのでしょうかね…

キナの木の栽培される気候を考えたらインドに移植しなかったのかと、
調べたことがありましたが、それは見つけられませんでした・・・

が、英国としてはセイロンで試して撤退、
代わりにオランダがジャワで大成功したようです…
だとしたら、Bols社とかが大々的にやっていたら
また世の中変わっていたんでしょうが…
実際はWWI後の世界需要の中で
人工キニーネが発見されたので衰退したようです…

ところで、日本の商社様の御苦労には頭が下がりますが、
薬事法に抜け道があるのなら、
今後は、他社が参入してきそうな気もするし、
そもそも日本も19世紀末頃の疫病流行の際に、
キニーネ入りワインを造っていたそうですから、
もしかしたら、日本産なんてのも出てくるんでしょうかねぇ~?w

太陽次第なところもありますが、
温暖化が進むと、マラリア蚊が増えて、巷では皆トニックを…
なんて…ww

昔、ケニアに行った時にナイロビのホテルで見た新聞に、
地元民16名マラリアで死亡…なんて記事を読んで
かなりビビったのを思い出しますが…

うんん…でも、あれか…
キニーネが効かないマラリアってのもいるって
常連さんのDrが言っていたなぁ…

でも、お店にあると安心かもw