$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-rama

「メメントモリ」
という言葉がかつてありますが、

それを別の言葉で表現する飲食の本が、
この数年多くなりましたね。

医学や様々な技術の発達で死を意識しなくなった昨今、
自然災害に成すすべのない我々は、
自然界に対する畏怖の念や、
古来からの神々に対する敬意を持たなければという意識を持たせます。


その一方で、人間が人間であり続ける為には
食べて飲むということを止められません。

高いお金を払って手に入れるものには様々なものがありますが、
支持されている以上、そこには何がしの理由というものがあるはずです。

それを買う人、買わない人がいるのは、
その価値を見出した人、感心がない人に分かれるからで、
それは誰にも強要されるものではありません。

ただ「好き」という、このなんとも広義な感覚が、
人をそれに向かわせるのでしょう…

お酒も同じです。

人を酔わせ、ダークサイドに導く酒も存在しますが、
人を癒し、明日へと導くお酒も多く存在し、
それを提供してくれる場所も多くあります。


単に貴重だからと持てはやされるお酒もありますが、
実際は、高い評価を受けてきた、受けているものには、
その確固たる理由というものがあるはずです・・・

それを探す食や飲の旅というものも、
なかなか有意義なものです。


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この数年、死ぬ前に
「飲むべき」とか、「食べるべき」とか、「行くべき」とかという見出しで
様々な本が出ています。

これは別にマストなことではないんでしょうが、
知っているものや食べたり飲んだりしたことがあるものを見ていくと、
確かに同感だというものも多く見つけることが出来ます。

もちろん、僕はそうは思わないとか、
私はこっちの方が好きというものを上げたらキリがありませんが、

人がどう思っているか、先人がどう考えたか、
どんな人が何を評価しているかというものを見てみるのも、
大いに楽しめる領域なのではと思います。

そんな一冊が
【死ぬ前に飲むべき1001ワイン】

世界中に覚えきれないほどのワインが存在し、
それぞれに品種や環境、歴史や文化、
興味深い生産者がおり、

だれもが認めるように一生かかっても飲みきることなど出来ませんw

そんなワインを著者なりに選んだのがこの1001種です。

「シェリー」は、どうしてもワインと違うもの
として扱われることの多いものの一つですが、
ワインを歴史的文化的観点から見た時に、
シェリーを外す理由など一つもありません。

もちろん、この1001のワインの中には
多くの「シェリー酒」が紹介されています。


もちろん、個人的には、
「えっ、これが入っていて、あれが入っていないの?」
というのもありますが、
著者とて、アシスタントが複数いたとしても、
全てを飲むのは不可能な話…
抜けているものがあってもおかしくはありません。

それは僕とて同じ、機会があれば、
飲めるシェリーは飲むようにしていますが、
全てを把握するのも、また不可能w

ま、それはさておき、その中でも、
この本で知り、生産者と輸入業者と交渉して
少量入荷したシェリーがあります。


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【アウロラ・マンサニージャ・パサダ・エン・ラマ】

ペドロ・ロメロ社が造る
マンサニージャ・パサダの無濾過ヴァージョンです。

この本の中では
「最も入手困難な一本」
として紹介されています。


最近、無濾過シェリーをリリースする蔵が少し出てきましたが、
その殆どが日本では知られておらず、知ったところで、
英国限定だったりと、日本では購入できない物が多いのが実情です。

ましてやあっても、その扱い方が解っていないと、
劣化が早く、シェリーであっても澱も出てくるので、
誰もが扱える商品でもないのでしょう。

色は、やや麦わらがかっており、
パサダ特有の優しく、どこか日本のダシを想わせる香味が特徴です。

これは、マンサニージャだからと言って、
冷し過ぎたら台無しですし、
シェリーだからといってシェリー・グラスで飲んだんではまた台無しです。

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蛇足
Q:ラベルの下が空欄になっているのは何故でしょうか?