$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-wine

ワインの普及の一環と、
ボトルで飲みきれない、
色々飲みたい、色々出したいという需要から
グラス・ワインを如何に出していくか?
というのはワイン界にとって常に挑戦でした。


古来、日本はグラスで売るのが可能な
日本酒や焼酎の国でしたしね…

もちろん日本酒もそのコンディションに気を使うのは
言うまでも有りませんが、
ワインほど気を使わなくてもいいというのは、
日本酒の長所として誇れると思います。

ワインは、「酸」や「タンニン」と言う
「天然の酸化防止剤」があるお陰で、
熟成という名の時間の経過を瓶内で過ごすことが可能です。


つまり酸が強いほど、タンニンが多いほど
熟成に耐えられる訳なのですが、
1930年代以降、マロラクティック発酵が流行してからは、
昨今のマーケティングもあいまって、
早飲み出来るものが主流となり、
多くの生産者がその方向を見るようになった気がします。

一方その中で、
ワインをグラス単位で提供しようという動きが
この20年で非常に発達しました…

その救世主となったのは二つ。
「窒素ガス」と「バキュバン」でした。


「窒素ガス」は、
開封後のワインボトルに吹き込むことで、
結果的にワインの酸化を遅らせてグラスでの提供を
長く出来るという長所を持っています。

ところがここには大きな問題がありました…
そう価格です…高すぎるのです…。


今年のFOODEXでも使いやすく安価になってきた
窒素ガスが紹介されていましたが、
まだまだ高いのが現状です。

そこで高い支持を得たのが
「バキュバン」でした。

安価で、それ自体のケアも楽で、
ポンプで空気を抜くだけという簡単なものでした。


ところが、現状を見ていると、
多くの方々がこの使い方を間違っているように感じます…

バキュバンのメカニズムを極簡単に説明しますと、
このポンプでボトル内の空気(酸素)を抜くことで、
ワイン(液体)の酸化を遅らせるというものなのですが、
ここに一つ大きな落とし穴があります。

空気を抜くということは、その空気がある空間が
一種の半真空に近い状態に近づくという事なのです。

それは一見イイ事のようにみえますが、
その半真空状態の空間に気発しやすい成分(香りなど)が移行し、
結果的にワイン(液体)のバランスを壊してしまうのです。


例えば一杯サーブする度に、これをやっていたんでは、
どんどんバランスは壊れ、結果的にはむしろ
酸化を早めてしまうという自体に陥るのです…

特に多いのは、これでもかっ!ってぐらい空気を抜く方々…
申し訳ないですが、ケアしたい一心なのかもしれませんが、
これではワインが早死にしてしまいます…

もしやるのだったら、
一杯出したら二、三回ポンピングするので十分。
で出来れば、それでも早く売りきった方がいいですね。。。


で、長くなっちゃったんですが、
ここからが本題というか結論です。

シェリー酒は色んな意味で日本酒に似ています。
その中でも今回取り上げたいのは、


シェリー酒はバキュバンも窒素ガスも要らずに
グラス売りが可能なワインだということです!


何故かは、また長くなるので止めますが、
シェリーやポート、マディラやマルサラは、
そもそも冷蔵庫もエアコンもない時代から、
日持ちする酒として進化してきたワインですからネ!

シェリー酒でバキュバンを使っている店・人があったら、
悪いことは言いません…
もう止められた方がイイです。

何故なら必要ないからです。


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