$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-tastevin

先日、ワイン好きの常連さん(外人女性)が
ワインをボトルで飲んだ後、

「もう一杯グラスで…」
と仰ったので、
グラス・ワインをお出ししたのですが、

その時、グラス・ワイン用のボトルが終わったばかりだったので、
新しいボトルを開けました。

僕は三田のシュバリエでの就労時代からいつも、
試飲に「タートヴァン Tastevin」を使っています。

その試飲の情景を見たその常連さんは驚き、

「それは何?」
と質問され、

「これはソムリエが試飲に使うタートヴァンというものです。」
と答えると、

「それを使っているのを初めて見た!今まで見たことがない!」
といささか興奮、

聞けば、今まで相当あちこちでワインも飲んだしソムリエにも会ってきたけど、
初めて見たし、てっきり灰皿かと思っていたと…(苦笑

「いえいえ、灰皿じゃぁありません。
もしそういう店があったら、それは冒涜的な行為ですねぇ…」

とお答えしました。

ま、確かに今時はグラスで試飲するのが普通になっちゃいましたからね…

でも、本来はこのタートヴァンで試飲したもんなんです。

しかも、タートヴァンの素材または表面は銀になっていて、
毒見の意味もありました。

上質なカトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン)が銀製なのも同じ意味ですね…


最近のソムリエ道具と言ったら、ラギオールのソムリエ・ナイフぐらいで、
こういう伝統の道具が廃れ、目から触れなくなっているのは残念ですね…

ま、ソムリエや店員が自ら試飲してから出す店はマトモな店ですが、
昨今はプロ自ら、常連さんでもないお客に、まず試飲させるという、

率先プロ放棄的ソムリエさんが多くて嘆かわしいですね…

でもこれも、不良在庫とさせない為のメーカー&協会の思惑とも…
ま実際、ワイン学校などでは、
ホストであるお客に試飲させるって覚えさせられますからね…
悪気は無いのは判るのですが…

タートヴァンを使えとは、流石に言いませんが、
プロならせめて試飲してから出して欲しいものです。


そう言えば、
昔はシャンパンの泡を飛ばす超小型ミキサーなんて道具もあったけど、
道具はおろか、その存在を知っている人すらみかけませんね…


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ちなみに、写真上部の綺麗なものは今でも買えるもので、
それと同じ形でやや小ぶりな右下のものはブルゴーニュ型、
で、左下の錫製のものはボルドー型なんですが、

さて、では何故、ブルゴーニュ型とボルドー型に違いがあるか…

それは…貴方にお会いした時にでもお話しましょう(笑

気になる方は
近くのソムリエさんに聞いてみるのも面白いかもしれませんね(笑

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