$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-tac


J.I.S.
の営業さんSさんのお勧めで
麻布台にある"Tokyo American Club"内で開催された
「ブランデー3社★合同セミナー」に参加してきました。


コニャックから「ポール・ジロー」
アルマニャックから「ジェラス」
カルバドスから「シャトー・ド・ブルイユ」
の各担当者が来日。


$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-jis
(氏に御挨拶をしつつ試飲だけさせて頂きました。)

【ポール・ジロー】のセミナーは勿論行く気だったけど、
以前も来日しているし、コニャックだし、
って…実は時間的に間に合わず断念…(汗;

逆に情報が極端に少ない
「アルマニャック」と
「カルバドス」は
絶対参加せねば!と慌てて支度。


アルマニャックの【ジュラス社】のセミナー
から参加が出来ました。


$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-jis
(ジュラス家*の創立(1865-)からの4代目フィリップ氏)
*13世紀-

まず、アルマニャックで個人的にインパクトがあったのが、
1310年当時のこの地方の修道士の残した蒸留酒記録に関する話でした。

これまでアルマニャック系の研究書*では、
1387年のスペインのナヴァラ王カルロスIIの蒸留酒焼死事件が
アルマニャックの蒸留酒存在の証拠とするのがせいぜいでしたが、

*下記参照参考文献他、
クリスティーズ(1980)の参考ブロシュア内etc...

なんとこの1310年の記録は、
明確にそれを示す文献が(ヴァチカンに)残っており、
2010年、それを記念して700年記念祭が
行われていたのは知りませんでした。

それが近年公開されたのは、また非常に興味深く、
現在が、ある意味の啓蒙思想時代の再来であるが如く、
キリスト教圏での一種のタブーを破ったような
事実公開事件だなと感じました…


遡ること12世紀-14世紀初頭と言えば、
二元論で知られるカタリ派が敗れ、
アルマニャックとピレネーの向こうではまさに
かのアルナルド・デ・ヴィラノヴァが登場し、
神からの特権者の名の元に蒸留酒が薬として
まさに捕り込まれた時代の始まりだったからです…

しかも興味深いのは、後のフランスの蒸留哲学が
どこか二元論的哲学を引きずっているということ…
つまり、マールではなくフィーヌ、
インダストリアルではなくアグリコール…のような…


解って欲しいなぁ…この面白さ…

ブランデーというと、
どうしてもコニャックが思い浮かびますが、
コニャックが成立したのは「ナントの勅令」破棄による
ユグノー排斥後であって、
そのベースを作ったのはまたユグノー達でしたから、
アルマニャックでの蒸留が
コニャックより如何に古い歴史があるか思い知らされます。

また一方でこの後のアルマニャックの発展を妨げ、
後のコニャックの発展を促したのが、
共にあらゆる意味での「木材*」だった…というのは、
まさに現代のエネルギー問題同様、永遠のテーマなのだと、
改めて感じたしだいです…。

*船舶、樽、燃料etc..

ということで、このセミナーで気になって、
改めて調査しなければならない事項となったのは、
よく取り沙汰されるアルマニャックのブラック・オークと、
スパニッシュ・オークの関係でしょうね…

スパニッシュ・オークのシェリー使用事実は基本無いにしても、
その材木産地であるガリシアでの造船業が盛んであった事実から、
樽の存在は浮かび上がっていますので、

あとは、ガリシアの樽熟オルーホがそれを用いない事実と、
モルト・ウイスキー関係の方々が言うそれとの関係性を、
これから時間をかけて紐解いていかなくてはならないようですね…

いずれにせよ、情報以上に、
新たな事実と視点を頂けた貴重なセミナーでした。


Armagnac: The Spirit of Gascony/C. E. Page

¥1,971
Amazon.co.jp
アルマニャックの文献でお勧めはコレ↑
値段も比較的安いですヨ


次は【シャトー・ド・ブルイユ社】カルバドス・セミナーです

【感想・質問・要望がありましたら、以下にコメントの書き込み下さい】