$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-tiopepe
José Ángel de la Peña

時は1835年、
日本では福沢諭吉が誕生、江戸では玉露が造られ、
英国では後にニッカの商業者竹鶴が修行するグレンスコシア蒸留所が創業、
フランスでは瀉血治療の無効性が叫ばれはじめ、
暮の空にハレー彗星が横切った年…

サンルーカル近郊にある塩田など、
国の塩専公社の監督を父にもつ
マヌエル・マリア・ゴンサレス・ゴードンが
ナポレオン戦争収束以後の著しい経済発展の中
ヘレスで自らのシェリー貿易の会社を興した。

この年扱えたのはたったの10樽だったが、
翌年には二人のパートナーと手を組み
62樽と、着実にその取扱量を増やしていた。

そんな彼を見守る一人の叔父(母方)がいた。
名を「ホセ・アンヘル・デ・ラ・ペーニャ」といった。

この叔父(ティオ)こそ「ペペ」その人である。

(↑上の写真の人)

*****
日本でも子供が言葉を話し始めると
まず発音するのは「ママ」や「パパ」そして「ババ」である。
これらはいずれも唇の発音、
つまり脳の発達段階初期で子供が発音できる音なのだ。
故、残念ながら「ジジ」の発音がなされるのは、
それから何日も経ってからの話である…

御爺ちゃん子が増えるのは
その感動が呼ばれないストレスを経て来るから、
御爺ちゃんが孫に与える愛情が強くなるから
とか、ならないとか…(笑
*****

スペイン語名の「ホセ」も同じだ。
通常、日本人にはカタカナの発音でと言われがちだが、
実際は「ホセ」の「ホ」の発音は喉を使ったウガイ的発音で、
「セ」に関してもまた、舌と歯を使った発音となるので、
幼い子供たちにはホセとは発音がしづらいのだ…

その為、スペインでは、「ホセ」を「ペペ」と、
「フランシスコ」を「パコ」と、「メルセデス」を「メルチェ」など*と、
幼い子供が発音が発音しやすく、
かつ略された愛称を用いるのである。
*ある程度の規則性はあるがまちまち。

これはまた興味深い事に、
脳の記憶として残りやすいものともなるので、
商品の命名という意味においても結果的には有効だと言える。

「ティオ・ペペ」が商品として
世界的に有名になれた理由の一つであるかもしれないのだ…

ちなみにティオ・ペペが商品になったのは1837年のこと。
その経緯については、次回…


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(↑上記のラベルは1838年当時のもの。)


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ティオ ペペ フィノ ドライシェリー(ゴンザレス・ピアス)(シェリー酒・スペイン)

ティオ ペペ フィノ ドライシェリー(ゴンザレス・ピアス)(シェリー酒・スペイン)