介護の現場から
相談が続く。
高齢の飼い主さんが倒れて、
ペットが取り残されている
という内容がほとんど。
放置されれば
ペットが餓死することも
あり得るケース。
引き取っていただける所は
ないですか?
うちの会に
保護施設はないし、
スタッフはそれぞれ自宅で
たくさんの保護猫を抱えており、
それはいずこも同じ。
殺処分の多くは
飼い主のいない幼齢猫と言われるが、
社会にあふれだす
行き場のない犬猫は
それだけではない。
多頭飼育崩壊、
高齢飼い主による飼育放棄、
大量生産のあげく
売れ残った犬猫たち。
繁殖に使い倒された
繁殖犬猫。
ブリーダー崩壊。
これほど社会に
行き場のない犬猫が
あふれているのに・・・
保護する場所を
どうするのか?
国も行政も
具体的な議論は
してこなかった。
保護する場所を確保せず、
どうやって
殺処分をゼロに
するのだろう?
2012年、法理に
殺処分がなくなることを目指して
という文言が書き込まれた。
動物愛護センターが、
保護施設の役割を果たしていくものと
期待した人々も多かったと思うが、
どうやら
違う。
民間がやってねって
ことなんだろう。
もう5.6年前になるが、
尼崎市では
多頭飼育崩壊が相次いでいた。
私たちは、
問題を見える化するため、
関わってきた20件ほどの事例を
報告書にまとめ、
問題提起と対策を求め続けた。
協力団体の皆さんと
神戸でシンポジウムを開催し、
市議会でも何度も取り上げていただき、
動物愛護推進協議会では
丁々発止の議論が
2、3年は続いたかなと思う。
行政は鬱陶しくて
仕方なかっただろうが、
結果、
『対策』と言えるものができた。
それまでは、
多頭飼育が起こったら、
ボランティアが50匹も60匹もの猫を引き取り、何十万円の不妊手術費用や治療費も自腹
というのが当たり前だったけれど、
今、尼崎市で
多頭飼育が勃発しても、
もう、そんな事はない。
行政が見て見ぬふりで動かない
なんてこともないだろう。
使える『対策』があるから。
現在取り組んでいる
高齢者とペットの問題でも、
現場は、
本当にいろんなことを
教えてくれる。
そのことを、
対策へとつながなければ、
不幸な命が
減ることはない。