今日は出かけると伝えてあった。





夕方身支度を整えていると、テレビを観ながら彼が言った。





「かっさ〜……ゴニョニョ……」


「カッサ?? カッサがどうかした?」


「いや、傘、持ってった方がいいかもよ」


「えっ?? 雨降るの??」





日傘代わりにもしている折りたたみ傘をクルクルとまとめて、カバンに入れた。





しばらくして空がゴロゴロと鳴り出した。





「ほら、ね」


「ほんとだ、雷。土砂降りになるかな?? 降り出す前に出ちゃおうかなぁ」


「一気にザーッとくるかもねぇ」


「冷蔵庫に昨日の残りのおかずあるから、もしあれなら食べてね」


「うん」


「ヤスコがさぁ」


「ジャスコ??」


「ヤ、ス、コ! ヤスコが今日男友達と飲むからおいでって。楽しい人だから会わせたいんだって。何ヶ月も前からしつこくて」


「しつこくなくても行くんでしょ」


「しつこくなかったら行かないよ、休みなのにめんどくさい」





前から男友達を紹介したいって言われていて、飲み友達として楽しいからって意味だけど……紹介という言葉は彼にはあえて使わなかった。





なんとなく紹介という言葉のニュアンスが誤解を与えそうな気がした。





とはいえ、多少の危機感は持たせてやろうと、いつもより念入りに化粧をし、ネックレスを着けた。