仕事帰り、てくてく歩きながら考えた。





たくさんの出会いと別れがある中で、悔いの残らない別れとはなんだろう。





少なくとも私は、自分が納得して決めた別れには悔いがない。





引き裂かれるように、離れるしかなかった別れには、悔いが残った。(その当時は)





女は強しで、そんな悔いも時とともに忘れ去って行くけれど。





過去のいくつかの別れを思い出してみた。





別れは自分から切り出すことが多かった。





そうと決めたら、ある意味強い覚悟を持って別れに挑んだ。





話し合いですんなりとまとまったこともあれば、揉めたこともある。





だけど、なにがなんでも別れるという強い気持ちは絶対に揺るがなかった。





相手に泣きつかれようと、喚かれようと、殴られようと、つきまとわれようと、キッチリ別れようという覚悟が揺らぐことはなかった。





そこには微塵の迷いもなかった。





そして、何度でも何度でも話し合い、立ち向かった。





ということは……





もし別れに対して強く腹をくくれないとしたら。





わずかでも迷いが生まれるのだとしたら。





それはまだタイミングではないということなのかもしれない。





女は強いから、こうと決めたら揺らがない。





今まで何度も彼との別れを考え、口に出してきたけど、いつも必ず迷う隙があった。





別れても悔いが残る。





その大きな理由は、【あの女にだけは負けたくない】というものだったけど。





別れたら、彼は大手を振ってあの女のところに行く。





彼はなんの痛みも感じることなく、私との別れを心待ちに待ってる相手のところに収まるだけ。





それがどうしても許せなかった。





だけどきっと、悔いが残る理由がなんだろうと、実は関係ないのかも。





【このまま別れたってスッキリできない】





本当のところ私はただそれが許せなくて、別れられなかったのかもしれないなと、今思う。





それが良かったのか、悪かったのか……今でもわからない。










そろそろ父の日の準備