愛なんかねぇーよと、憎まれ口を叩く彼。





愛なんかねぇーかもしれないけど、でも、はにかんだ笑顔の向こうには確実に何かがあるよね。





笑った唇の端から何かがこぼれ落ちていた。





激しい喧嘩して仲直りしたときみたいに、心と心が触れ合ったような気がした。





そんな満足感に浸って、眠ろうとしたときのこと。





一旦おトイレに行っておこうと、ベッドから降りた。





階段を降り……





あっ!!





足を滑らせて尻もちをつき、そのまま2~3段ドドッと落っこちてしまった。





あーやっちゃった……





左の肘付近と腰を打って、しばらく痛みで動けなかった。





特に腕が痛くて、動かすと痛みが走る。





なかなか眠れなかった。





彼が帰ってきて報告した。





「さっき階段から落っこちちゃった。外じゃないよ、部屋のね」


「あら大変」


「お尻から落ちたから大したことないけど、肘のとこと腰打ったよ」


「大丈夫か?……階段(笑)」


「はぁぁ??」


「階段大丈夫? 壊れてないよな?」


「心配するとこそっち?」


「いやだって、自重が重いから(笑)」


「壊れてないよ( #・᷄ὢ・᷅ )」


「ちょっと見てくる。大丈夫かなぁ……重いからなぁ」


「失敬な」





確かに否定はできないけども……





けどそんな憎まれ口も、さっきのほっこりの余韻で憎たらしさを感じなかった。





これがもし心が弱っているときなら、私のことなど心配じゃないんだなと、きっと腹が立ったり落ち込んだりするんだろう。





浮気に悩んだ渦中だったら、「これが私じゃなくて彼女だったら素直に心配するくせに」と、泣いたかもしれない。





受け取るときの気持ち次第で、受け止め方はまるで違う。





今の私は、「素直に言えないから階段の心配するフリなんかしちゃって」って思えている。





それにしても……痛い(笑)







久しぶりに引っ張り出してみた🌎