日曜日は完全におひとり様だった。
うどんを茹でて簡単にランチにし、久しぶりにAmazonプライムでドラマを観た。
私はあんまりドラマは観ないけど、WOWOWオリジナルドラマは割と好きでたまに観ている。
5話くらいで完結するので長すぎず短すぎずちょうどいい。
亀梨くん主演の【正体】とか、高畑充希ちゃんの【いりびと】、有村架純ちゃんの【そして、生きる】【前科者】、ムロさんの【雨に消えた向日葵】、松田龍平さんの【ナントカ村】などなど、彼と一緒に観た作品も多い。
今回は一人だし、彼が絶対見なさそうなドラマを一気見しようと思って選んだのがこちら。
柴咲コウさん主演の【坂の途中の家】。
子育て中の女性が裁判員裁判に参加するお話。
被告人はまだ8ヶ月の我が子をお湯に沈めて殺害した主婦だった。
子を持つ親として被告人に嫌悪感を抱いていた主人公が、裁判に参加しているにつれ、被告人に抱く気持ちが変化していく……というお話。
主人公のみならず、裁判に関わった人たちが皆、それぞれ置かれた立場で少しずつ変わっていく。
ごくありきたりな、いわゆる【よくあること】【よくある家庭】【よくある台詞】に、少しずつ少しずつ、本人も気づかぬうちに追い詰められていく過程がとてもリアルだった。
周りの人は【ごく普通】に【ごく普通】のことをしてるだけ、言ってるだけ……のように見えるのに、少しずつ少しずつ棘となって刺さっていく。
言ってる本人は【普通のこと】を言ってるつもりだから、傷つけていることにさえ気がつかない。
なんなら【助けになっている】とさえ思っているからタチが悪い。
はたから見てれば、ん?なにかおかしい?と思うのに、家庭という箱の中では意外と気がつかないものなんだよね……
帰宅して途中から見始めた彼は、男だし子育て経験もないから、出てくる意見は「やっぱりそう言うよね」という言葉。
彼には主人公の気持ち、主人公のセリフの意味がどうしても理解出来ないようだった。
「ひとつ間違えば誰もがこの被告人と同じようになるってことだよ、追い詰められて突発的に子供に手を上げてしまったり殺してしまったりということは、誰にでも起こる可能性があるってこと」
「いやぁ、ないね。そうはならないね」
「そうなるの。母親には逃げ場がないの。これはもう、いくら説明したところで絶対に理解出来ないと思う。だから説明しないし、別に分からなくていいから。子育てするわけじゃないからね」
彼は、主人公の夫のどういうところが主人公を追い詰めたのか理解出来ないみたいだったけど、最初から観てないのだから無理はないのかもしれない。
だけど、もし最初からちゃんと観たとしても、あの夫のどこが悪いのか、理解出来ない気づかない男性は多いのではないかと思う。
ただひとつ言えるのは、世の中に【普通】などないということ。
自分が普通だと思っていることが、他の人にとっては普通じゃないのかもしれない。
「ダイバーシティだからね」
「そう、だから普通なんてないんだって、忘れないようにしないと」
子供の超絶腹立つわがままぶりとか、優しそうな旦那の母親からの押し売りとか、一見するとまともそうな旦那の絶妙な違和感とか、とにかくもう、見せ方がすごく上手かった。
役者さんたちの演技、構成、全てが素晴らしい。
そして最終話で、ずっと勘違いさせられていたことに気づく。
最後はちょっとホロリとし、久々に惹き込まれたドラマだった。
それにしても……
ドラマの中で旦那が「元カノ」と会っていて……なんなの?元カノってそんなにアレなの、特別なもんなの?
「はー。どいつもこいつも元カノかよ」
聞こえるか聞こえないかくらいに小さく呟いてやった。
グリーン系のアイシャドウが気に入っている