うなぎの成瀬の話をしていた時のこと……





成瀬さんは、コスパ良くてお味もそこそこ美味しくて、うなぎの常識を覆すようなうなぎ屋さん。





他のうなぎ屋には行けなくなった!!と先生も絶賛している。





「でもたまに食べるから美味しいんだよね〜毎週毎週食べたいか?って言ったら、やっぱ違うなって思うもん」


「そうねぇ〜」


「そういえばみんなで行ったとき以来食べてないなぁ」


「あー……俺食べたかも」


「え、そうなの?誰と行ったの?」


「この前……お得意さんの差入れ」


「お得意さんって?」


「ちっ!! いちいちうっせーなー、お得意さんはお得意さんだよ」





また始まった。





ほんの少し掘り下げるだけで半ギレ。





「誰だかわかんないから聞いただけなのに」


「言ったってどーせ知らねーよ!!」





なんでそれくらいのことでいちいちキレられなきゃいかんの?





「知らないと思うよ〜」って普通に言えばよくない?





そうやってキレて「これ以上聞くな」って感情が丸出しすぎるから、余計に「おかしいぞ」って思われるのに。





まぁ、私の知らないうちに実は食べてましたって白状するあたり、やましいことはないのかもしれないけど……





「ちっ……いちいちめんどくせーな」





は? めんどくさいのはこっちですが?





「ふーん、成瀬ってテイクアウトもあるんだねー」


「あるよ」





聞こえないフリして明るく言った。





本当に、なんでこの男はこうなんだろう。








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