週明けまた彼と軽くケンカした。





ズボラな私と几帳面な彼との価値観の違い。





ことさらキッチン事情においては、嫁姑の些細な価値観の違いがぶつかり、関係が拗れる大きな原因になるという話は珍しくない。





先日はそんなキッチンを舞台にしたケンカだった。





私は寝る直前までガスレンジを使っていて、汚れているのは分かっていたけど明日の朝掃除をしようと思って寝た。





重い鍋もガスレンジも熱々で、今無理に掃除するのはやけどをしかねない。





その後帰ってきた彼が汚れに気づいて、聞こえよがしに大きな奇声を発しながら、寝室まで聞こえようにガタガタとこれまた一際大きな音を立てながら掃除を始めた。





私はその物音におちおち寝てられなくて、起きてキッチンに行った。





「いいよぉ、私が朝やるから」


「気づいた時にやらないと、落ちにくくなるでしょ。今気づいたから今やってんの」





イライラしたご様子。(言ってることはごもっともです)





そこからお得意のイヤミ〜な言い方でネチネチしながら、大袈裟な動きでガシガシと掃除を進める姿に、私もイライラした。





「どうしても今じゃなきゃダメなの?」


「気づいた時にやるでしょ普通」


「わかった、私がやる」


「いい!!から。俺がやるからいいいい。向こう行ってて。寝てていいから」





カチーンときて、すっかり目が冴えてしまった。





「怒ってんの?」


「怒ってない」


「怒ってないならどうして上まで聞こえるように大きなため息ついたり大きな声出すの? イライラしてますってアピールしてるよね?」


「アピールなんかしてないよ」


「してるよ。アピールじゃないなら聞かせるような大きい声出さないよ」


「俺は今気になったから、今やろうと思っただけ。『俺は』ね」





まるで『お前はいい加減だから気にならないんだろうけど』と言わんばかり。





食器を洗うタイミングとか、洗剤の使い方、洗い方、すすぎ方、布巾での拭き方、食器のしまい方、シンクの洗い方、生ゴミの捨て方、シンクを洗う用と食器用のスポンジは分けるとか、食器を洗うときに水をだしっぱなしにするとかしないとか、調味料のしまい方とか、米の種類とか。





数えあげればきりがないほどキッチン周りの小さなこだわりは積もり積もって揉め事の種になる。





吸殻や生ゴミを、彼が大きなゴミ袋の方に直接入れるのがとても気になる。(だから毎日こまめに吸殻を小さなビニールに縛ってゴミ袋に捨てるようにしている)





食器用のスポンジでシンクも洗ってしまうところも実は気になっている。(言わないけど)





キッチンで生まれる小さな亀裂は、決して埋まることなくやがて大きな亀裂になる。





だからキッチンの主は一家に一人じゃないとうまくいかない。





我が家の場合はメインの料理は私だけど、あくまでも【彼の家】だから彼も手を出し口を出す。





私は基本、洗い物や生ゴミを溜めることはせず、すぐに洗ってすぐに片付け、シンクもガスレンジもある程度はキレイに掃除しておくけど、洗った食器をすぐに布巾で拭かずに自然乾燥するまで放置することもある。





だからたまにしまい忘れたグラスなど、彼が片付けていることも。





だけどこちらが気づかないうちに黙って片付けていて、わざわざ大きな奇声を発して『片付けてますよ』アピールなんて、いつもはしない。





『お前が掃除してないから俺が今、一人で一生懸命やってますよ』





その無言のアピールは、ある意味直接文句を言われるよりもイヤミったらしく神経を逆撫でした。





元夫といる時は完全にキッチンを任されていてほとんど入って来ることがなく、自分のタイミングで洗い物をして、適当なタイミングで掃除して、本当に自由でラクだったなと思い出した。





仕事から帰ったらほとんどの時間キッチンにいたし、まさに【私の城】だった。





でもここは彼が買った彼の家だから、実際にキッチンを使うのが9割私だとしても、やっぱり彼の方が立場が強いよな……と感じた。





一緒に暮らさない方が、お互いストレスなく生活できるんじゃないの?……とか、考えてしまった。





まぁ事実そうなんだろうけど、その選択肢を口に出すことはない。








屋台のクルクルポテトが簡単に🥔