一室で展開する「修羅場」 女5人の遺産争い描く
女たちの遺産争いをコメディータッチで描いた中部日本放送(CBC)制作のスペシャルドラマ「シュラバッ!」が、10月4日午後2時から、TBS系で放送される。一つのセット内で話が展開する「ワンシチュエーションドラマ」という手法で作られているのが特徴だ。
ドラマの舞台は園芸会社の保養所の一室。事故死した同社社長・松本雄太(梅沢富美男)をしのぶ会が開かれる。だが、出席者は雄太の妻・花枝(野際陽子)をはじめ、義理の妹・伊都子(松田美由紀)とその娘・カンナ(安達祐実)、取引先の商社社員・内田ちよみ(紺野まひる)、雄太の幼なじみという今川初(阿知波悟美)の5人だけ。女たちはそれぞれが雄太と深い関係だったことを知り、雄太の遺産を巡って激しくも明るい「修羅場」を繰り広げる。
CBCの小森耕太郎プロデューサーは「今までとは違うドラマをやりたかった」と話し、前から手がけたかったワンシチュエーションドラマを作ることにしたという。たった一つの室内だけで物語が進むこの手法は、米映画「十二人の怒れる男」(1957年)が有名で、最近の日本映画では「キサラギ」(2007年)でも見られたが、テレビではフジテレビ系「やっぱり猫が好き」(88~91年)などがあるくらいで、最近は少なかった。
通常のドラマより会話の密度が要求されるため、台本を約3か月かけて練り込み、演出の上では、アップや引き、撮影位置など、舞台劇との違いも強調した。何より重視したのが配役。「登場人物のキャラクターをふくらませて演じるには、タレントではなく役者でないと難しいと考えた」と小森プロデューサー。
CBCでは毎月第3日曜に「スジナシ」という即興ドラマの番組を放送しているが、安達、紺野、松田は同番組への出演で実力を高く評価され、起用が決まったという。
ドラマでは、激しい口調でキレる紺野、妖艶な雰囲気を漂わせる安達など、役者の演技力に圧倒される。出演者も楽しんだようで、野際は「セリフのアンサンブルの楽しさを感じた。思った以上に面白い」と話し、安達も「こういうドラマは初めてだけど楽しかった」と笑う。梅沢は「最近のドラマは役者の出る幕がないと思っていた。やっと大人のドラマができた」と満足そうだ。
テレビドラマ評論家でもある中町綾子・日大芸術学部准教授は「一つの場所から逃げずにドラマを作るのは、作り手にも緊張感が伴う。ドラマのバリエーションが求められている中、こうした作品作りに積極的に取り組む姿勢は期待できる」と評価している。
出典:読売新聞