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ワールドツアー帰国後まず制作されたのは10インチのスペシャル・レコード「増殖」。ロンドンやニューヨークで感じた現地の空気をそのままフィードバックした様なYMO流ニューウェーヴ・サウンド。ギャグ集団「スネークマンショー」のコントを織り交ぜた今までにないスタイルでファンに衝撃を与えました。
Yellow Magic Orchestra / X∞MULTIPLIES （増殖） (10inch)
メンバーの中でまずソロ活動に取り掛かったのは高橋ユキヒロ。6月にリリースされた「音楽殺人」はロンドンのニューウェーヴの雰囲気を採り入れた、ライトでキッチュでキュートなサウンド！ファンの間では彼の最高傑作の呼び声高い大名盤です！
高橋ユキヒロ / 音楽殺人 (LP)
アルバムのコア曲のシングル「音楽殺人」。未だに人気のキュートなダンスポップ名曲！
高橋ユキヒロ / 音楽殺人 (7inch)
セカンド・シングル「悲しきブルーワーカー」。プレス数が少なかったのかあまり見る事ないレア盤です！こちらもサンディとデュエットした超アップリフティングな名曲です！
高橋ユキヒロ / 悲しきブルーワーカー (7inch)
高橋ユキヒロはプロデュースも積極的に行っていました。こちらはハーフ系女性タレント、スーザンのファースト・アルバム「魔法を信じるかい？」。YMOファミリー、ムーンライダーズ一派が参加した豪華なアルバム！タイトル曲は「ラヴィン・スプーンフル」の名曲カヴァー。テクノ歌謡の人気盤です。
スーザン / 魔法を信じるかい？ (LP)
細野晴臣もこの時期はプロデュース中心で、中でもサンディの「イーティン・プレジャー」は今でもギンギンにクールで魅力的なテクノポップ名盤として評価高いです。でもセールスが悪くて細野さんはかなり落ち込んだそうです。
サンディ / イーティン・プレジャー (LP)
YMO海外リリース・レーベルであった「A&M」傘下の「ホライズン」が倒産したため「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」は海外で発売されませんでした。その代わり本体「A&M」が「ソリッド～」と「増殖」から選曲した「マルティプライズ」をアメリカでリリース。下のレコードはUS盤ではなく激レアのUK盤です！実はこのUK盤、選曲がUS盤と全く違います。アメリカ盤では総カットされたスネークマンショーのコントも一部収録してあり、さすが「モンティパイソン」のお国柄。
Yellow Magic Orchestra / X∞Multiplies (LP)
アメリカ盤の「マルティプライズ」は逆輸入というかたちで国内盤もリリースされました。日本では「増殖」がリリースされて間もなく、内容が重複するので細野さんは発売に反対したそうですが、レコード会社が押し切った。今では初期YMOのベスト盤として聴けます。
Yellow Magic Orchestra / X∞Multiplies (LP)
坂本龍一は7月にファースト・シングル「ウォー・ヘッド」をリリース。「レキシントン・クイーン」というディスコの開店記念用として制作したトラックを更にブラッシュアップした楽曲で、強烈なヴォコーダーが今でも最高にカッコ良いヒップなエレクトロ・ダンス名作です。
坂本龍一 / WAR HEAD (7inch)
YMOの熱狂的ブームに対しメンバーの中で最も辟易としたのが坂本龍一で、YMOの脱退すら考えます。残留に対するレコード会社への要求はソロアルバムの制作で、9月にリリースされた「B-2ユニット」は当時のUK最先端サウンドであった「ダブ」を採り入れた超刺激的な一枚！商業作品でここまで先鋭的な作品は世界的にも稀だと思われます。YMOトータルで見ても最も重要な作品のひとつでもあります。
坂本龍一 / B-2 Unit (LP)
80年の末から「第2回ワールドツアー」がスタートします。ツアー中にアメリカの名門音楽番組「ソウルトレイン」に出演し「タイトゥン・アップ」を演奏。これに目を付けたのかレコード会社は同曲を急遽シングルでリリースしています。「増殖」リリースから半年経ってからのシングルカット。
イエローマジック・オーケストラ / タイトゥン・アップ (7inch)
80年末の第2回ワールドツアーから帰国後、「もう昔の曲はやりたくない！」とばかりに81年はスタジオワーク中心に。そして最高傑作「BGM」と「テクノデリック」を産み出し、YMOの創作活動はピークを迎えます。
次回は「最高傑作BGM、テクノデリックを産んだ奇蹟の81年」です！
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