駿府城(駿河国・静岡県静岡市) | おしろまなぶ の お城を学ぼう

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訪問したお城について書いていきます。

こんばんは、新型コロナウイルスで大変な日々を過ごしてきた2020年(令和2年)も間もなく終わろうとしています。
来年こそは普通に各地を往来できるようになるといいなぁと願っています。

そんな今回は、現在の静岡県静岡市葵区にあった城で、日本100名城の1つ(41番)にも選ばれている駿府(すんぷ)城です。
徳川家康の隠居城としても有名ですね。

駿府というのは、律令制で国司が地方政治をおこなう役所(国府)が置かれた場所、つまり駿河国の国府、駿河国の府中という意味ですね。
同様に周防の国府で防府、甲斐の府中で甲府というような感じですね。
まあ、厳密には甲府は律令制の時代の府中ではないのですが・・・。

今年最後の更新は、7年前に投稿したものを再編集してお送りします。一部写真が古いものもありますが、ご了承くださいm(__)m



駿府城跡のある駿府城公園はJR静岡駅北口から徒歩10分、静岡鉄道新静岡駅からは徒歩5分程度のところにあります。
いつの間に駿府公園から駿府「城」公園になったんだろう・・・?
駿府城公園の公式HPは↓↓
https://sumpu-castlepark.com/


静岡駅北口。
JR東海の東海道本線と東海道新幹線が乗り入れていて、新幹線と在来線の乗換駅として用いられています。
東海道新幹線はこだまの全列車とひかりの一部の列車が停車しますが、のぞみは停車しません。
静岡県の県庁所在地である静岡市を代表する駅だけあって、かなり大きいです。
静岡市は2003年(平成15年)に清水市と合併して新たに静岡市となり、2005年(平成17年)には全国で14番目の政令指定都市になります。
人口は約69万人で静岡県内では同約79万人の浜松市に次いで2番目の都市となっています。

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静岡鉄道新静岡駅。
静岡鉄道静岡清水線の起点駅です。
駅ビルの新静岡セノバには、子会社のしずてつジャストラインの新静岡バスターミナルも入っていて、路線バスや高速バスへの乗り換えが便利です。

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水堀と石垣がとても美しいですね。

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城代橋。
こちらは結構前の写真です。今は工事中です。

室町時代に駿河国守護の今川氏が築いた今川館が駿府城の始まりです。

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大手門跡。
礎石のあった場所だけ歩道の色が変えられているのですが、分かりますでしょうか。
黄色い視覚障害者誘導用ブロックが目立ってますが、それとは別に色が変わっている部分があるんですけれども、見えにくいかもしれません。


巽櫓と東御門。
残念ながら東御門橋は橋の架け替え工事のため通行止めで、巽櫓と東御門もリニューアル中ということで、近付けませんでした。
巽櫓は1989年(平成元年)に、東御門は1996年(平成8年)に木造にて復元されました。

その後、今川氏は武田氏に攻め込まれて滅亡、駿河国は武田氏の領国となります。

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架け替え工事前の東御門橋はこんな感じでした。

1582年(天正10年)に武田氏が滅亡すると、甲斐と駿河の武田氏の領国は徳川家康が支配します。


本丸堀。
本来は本丸をぐるっと囲っているはずなのですが・・・、

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本丸堀跡。
こちらは陸軍歩兵第34連隊を誘致する際に埋められています。

徳川家康が1585年(天正13年)から築城を開始しますが、1590年(天正18年)には豊臣秀吉の命により、江戸へ転封となります。


本丸堀。
埋められている部分で分断されていますが、本丸堀はところどころ残されています。
木橋が設置してあって、堀を渡ることもできます。


木橋から反対側を見るとこんな感じです。
こちらは二ノ丸水路と呼ばれていて、二ノ丸堀につながっています。
そこにも石垣が敷き詰められているそうで、水路としての役割を担っていたことが伺い知れますね。


北御門跡。
現在は枡形部分が取り払われていて、高麗門のところの石垣が残されています。

その後、徳川家康は江戸に幕府を開きますが、家康自身は将軍職を退いた後の1607年(慶長12年)には再び駿府城に入って、天下普請により大改修おこないます。
この大改修の際に、5重の天守が築かれました。


馬場先御門跡。
二ノ丸に入ってすぐのところにあって、写真の手前側には馬場があったことから馬場先御門というそうです。
食い違い虎口の構造だったようですが、今では名残すらありません。


御天守台下門跡?
天守台跡の発掘調査が進められていて、見学することもできます。
詳しくは↓↓
http://www.shizuoka-bunkazai.jp/castle-info/


家康公お手植のミカン。
家康が隠居して駿府城に入った際、紀伊国から鉢植えで献上されたものを本丸に植えたのだそうです。
静岡県指定の天然記念物にもなっているこちらのミカン、運がいいと貰えるみたいです。


駿府城本丸跡の碑と徳川家康公像。
背後に発掘現場のフェンスが見えます。


天守台跡。
この日は休業中だったので、フェンスの合間から覗きました。

1624年(寛永元年)には2代将軍・秀忠の3男・忠長が駿府城主となりますが、忠長の乱心により1631年(寛永8年)に改易と蟄居を命じられます。

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紅葉山庭園。
2001年(平成13年)に完成した日本庭園です。
家康の頃の庭園と同じ名前が付けられています。
東御門や巽櫓と共通で300円で入れます。

以後は幕府直轄となり、1635年(寛永12年)には火災で天守が焼失しますが、城主がいないということもあり、再建されることはありませんでした。

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二の丸御門跡。
1957年(昭和32年)に二の丸御門は埋められ、少し東側に新たに橋が架けられました。
よく見ると二の丸御門のあたりだけ、石垣の細かさが全然違うのが分かると思います。

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静岡学問所跡の碑。
静岡学問所は、明治維新後に駿府に移ってきた(戻ってきた?)徳川家により1868年(明治元年)に設立されました。
1873(明治5年)に学制が施行されるまでのわずかの間、静岡の人材育成を担いました。


坤櫓。
2014年(平成26年)に復元されたもので、1階部分のみ見学することができます。
床板や天井板が外されて強化ガラスになっているということで、見てみたかったのですが、休館日でしたので外観のみです。

明治になると明治新政府への恭順の意を示すという意味で、地名を駿府から静岡に変更されました。


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わさび発祥の地だそうです。
一瞬芋虫のオブジェかと思いました(失礼)。


静岡県庁本館。
1937年(昭和12年)に完成した地上5階建ての建物で、国の登録有形文化財となっています。
この建物だけでは業務をこなせないので、周囲に別館や西館、東館があります。


静岡市役所本館。
1934年(昭和9年)に完成した地上4階建ての建物で、こちらも国の登録有形文化財となっています。
静岡県庁に隣接する形で新館(一部は葵区役所)があります。
文化財の中で仕事する気分って、どんな感じなんでしょうね。

来年はどんな年になりますでしょうか、皆さん今年1年ありがとうございました。
では、この辺で。よいお年をお過ごし下さい。


御城学。