カッサフォルテ犬猫コラム -204ページ目

偽妊娠

ワンちゃんには偽妊娠と言う状態があります。
体の中の女性ホルモンの変化が妊娠時と同じようになり、実際には妊娠していないのに、体が妊娠したような状態になることです。

偽妊娠は生理があってから大体2ヶ月前後から目立つようになります。
ワンちゃんの妊娠期間は約63日なのでちょうど出産前後に当たります。
実際には妊娠していないにもかかわらず、その頃から乳腺が張ったり、中には乳腺が張るだけでなく、乳汁が出る子もいます。
さらにはぬいぐるみなどを自分の子供のように守ったり隠したり、面倒を見る子もいます。

偽妊娠自体は何事もなければ長くても1ヶ月ぐらいで治まってきます。
これは、実際に妊娠していれば、ちょうど子供が乳離れをする時期です。
乳腺の腫れがひどく、炎症を起こしたりする場合はホルモン剤を使って治療することもあります。
原因は女性ホルモンの異常ですので、卵巣などに何らかの異常がある場合もあります。
繰り返すようならば、避妊をした方がいいかもしれません。

偽妊娠の間はなるべく乳房には触らないでください。
乳房を刺激すると、子供がおっぱいを飲んでる刺激と受け取り、ますます盛んに乳汁を分泌させることになりかねません。
誰も吸わないのにどんどん乳汁を分泌していると乳腺炎を起こすことがありますから、なるべく触らないようにしつつも、時々乳腺の様子を観察し、乳房の張りがどんどん大きくなったり、色が変わったりするようなら診察を受けてください。

人間もワンちゃんも女性の体はデリケートですね。

産後

今回は、出産後に気をつけてほしい病気についてです。

まず一番怖いのは低カルシウム血症です。
妊娠中の胎子の骨格形成や乳汁にたくさんカルシウムを取られることなどが要因と言われていますが、正確な原因はまだよくわかっていないようです。
症状としては、軽い場合は呼吸が速くなったり、震えや発熱が見られたりします。
重い場合は激しい痙攣を起こします。
この状態は死に直結しますので、すぐに動物病院に連れて行ってください。
カルシウムは心臓の筋肉に非常に重要な役割を果たしているため、血液中のカルシウムが極端に低下すると心臓が止まってしまうのです。

病院では状態にもよりますが、まず血液検査をします。
痙攣の原因は低カルシウムだけではないので、他の項目についても調べます。
低カルシウム血症が確認されたら、直ちに血管からカルシウム製剤を注射します。
回復した後は、カルシウム剤を与えたり、与えているエサの栄養を見直す必要があります。
また、回復しても1日は授乳させないようにします。
低カルシウム血症を繰り返すようならば、授乳は完全にやめさせます。
その場合は、大変ですが、お母さんの代わりに飼い主さんががんばってミルクを与えてあげてください。

もう一つ注意してほしいのは子宮炎です。
産後の子宮の回復が悪く、炎症を起こしてしまうことがあるのです。
出産後、しばらくは陰部からオリモノが出ます。
すぐに止まる子もいますし、なかなか止まらない子もいますが、1ヶ月以上続くようなら動物病院に相談してください。

帝王切開

犬は安産な動物だと言われおり、それにあやかろうと、妊婦さんは戌の日に腹帯を巻いたりするんですが、実はワンちゃんの難産は意外に多く、むしろネコちゃんの方が安産です。
骨盤の大きさに対して胎子が大きすぎたり、大きさは問題なくても向きが悪かったり、お母さんの陣痛が弱かったり。原因はいろいろです。
難産の場合、多くは帝王切開が必要になります。
出産前の検査で確実に帝王切開が必要になるとわかっている場合は出産予定日に手術をしますが、多くの場合、出産の経過によって考えます。
妊娠期間が63日と短いため、1日の違いが赤ちゃんの生存に大きく関わってくる可能性があるからです。

帝王切開に踏み切る基準は次の通りです。

○交配してから72日経っても出産の徴候がない。
○体温が低下してから24時間以上経っても陣痛がない。
○弱い陣痛が2~4時間以上続いている。
○強い陣痛が15~30分以上続いているが出産しない。
○破水してから90分以上経つが出産しない。
○前の子が生まれてから2~4時間以上経つのに次の子が出てこない(犬の場合)。
○胎子が途中で引っかかって出てこない。
○緑色(猫では赤茶色)のオリモノがある。
○全身状態が悪く、衰弱している。


どれか当てはまるものがあったら、直ちに動物病院へ連絡してください。
放置しておくと、赤ちゃんのみならず、お母さんの生命も危険です。

帝王切開が必要だと判断したら、まずレントゲンや超音波検査で胎子の数や大きさ、向きの確認をします。
それらが確認できて、準備が整い次第、直ちに手術です。
お腹の中の赤ちゃんに影響するため、麻酔を深くはかけられません。
お腹を切って、子宮を出し、子宮を切って、赤ちゃんを取り出すまでは最低限の麻酔で行います。
赤ちゃんを取り出したら、待ちかまえているスタッフに渡します。
受け取ったスタッフは膜を破り、体をこすり・・・と前回書いたような蘇生処置を行います。
赤ちゃんを無事に取り出せたら、あらためて麻酔を深くかけて元通りに縫っていきます。
手術が終わって、お母さんの麻酔が覚めたら一安心です。

純血種の子や、小型犬は比較的帝王切開が必要になる子が多いように感じます。
ブルドッグやボストンテリアなどの短頭種の場合はほとんどが帝王切開だと聞きます。
これらの子たちは帝王切開になるかもしれないという覚悟の上で妊娠させるかどうかを考えてください。