自由劇場で7公演限定だった「ひかりごけ」
行ってきました。
舞台には白い箱。
この中が生死を彷徨う「洞窟」となり
そして2幕では生死を法で裁く「法廷」となります。
金森馨さんの斬新でなおかつ奇抜なデザインのセットで
たった4人の俳優が呻き、苦しみ、自問自答を続けます。
「我慢をしている」
これが恐らく軸なんですよね。
3人の船員達は空腹を我慢し、
ひとり、また一人と命を落としていきます。
そしてその肉を食べることで生き延びてきた西川は
人として、人間として苛み、苦悩の末に自決することを決めますが
船長の「生き抜くこと」への執念で命を奪われてしまいます。
2幕は裁判所の法廷で船長は
「わたしは色々なことを我慢している」
と主張します。
そして、
「人の肉を食べたことがない人から裁きを受けても裁かれている
気になれない」
と発言します。
その発言が常軌を逸していると検察官は憤り、船長へ詰め寄ります。
結局、船長の真意は表には出てきませんが
私は船長は「死ぬことを我慢している」のではないかと思っています。
死は決してたやすいことではありません。
でも死の先には我慢はありません。
我慢することから解放される「死」を我慢することで
死よりもずっとずっと重い「生きる」ということを選ばざるを得ません。
人間が当たり前のように動物や魚を食して生きていることと同じように
自分と同じ種族を食べることで生をつなげる、
それは何千万年も昔から続いている、罪なのだと思います。
たった20分の短い結末の2幕ですが
1幕以上に重く、人間という動物を訴えているようでした。
最後に船長が
「私を見てください、見えるはずなんです」
という台詞が心に強く残りました。
すごく重い内容でしたが、どこか心の中で
「ああ、やっぱり自分は人間なんだ」って思ってしまう、そんな舞台でした。