ゴールドはなぜ急騰しているのか 外資金融機関の“預言者”が予想した「多極化する世界の到来」で起き | かじのだんじょん★アメブロ支店

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Casinodungeonというサイトの管理人たちの日常や実践記など、本家では書けないことを書いていこうかなと思います。

投資の基本はリスク分散であり、景気や地政学リスクに対して反応の違う資産を組み合わせることが重要です。そのため、我が家では家族それぞれで保有している資産が重ならないように、資産運用のための家族会議を開催することがあります。その際、私は家族にゴールド(金)投資の可能性について話をすることがあります。家族からは「紙幣は、共同幻想で成り立つ紙切れと批判したいのはわかる。でもゴールドだって同じじゃないか! しかも、ゴールドなんて金利がつかない!」と批判されます(笑)。そして、これがまさにゴールド投資に否定的な人の代表的な意見でもあります。今回は金利がつかない、でも伝統的にリスク分散のためにゴールド投資が行われてきた背景について考察していきます。

 

 

  ■製造原価は20円

 

 共同幻想とは、紙幣のことをみんながお金と思っているからお金であり続けられることを指します(ちなみに、1万円の製造原価は20円ほどとも言われています)。ゴールドも、多くの人が価値があると信じているから、価値があるものとみなされています。紙幣とゴールドの歴史を見ると、後者のほうが人類の歴史において長く価値あるものとみなされ続けてきました。理由は、紙幣は特定の国の政治や経済環境に大きく左右されるものの、ゴールドはそのような影響は薄いことです。貨幣においては、一国の中央銀行が金融政策で紙幣を大量にばら撒いて、貨幣価値を下げるということは可能です。しかし、ゴールドは埋蔵量が決まっており、そのようなことはできません。

ゴールドはなぜ急騰しているのか 外資金融機関の“預言者”が予想した「多極化する世界の到来」で起きること 崔真淑

 

 さらには、ゴールドは腐食しにくく、鉄などと違い1000年前のものもそのまま取り出すことが可能であり、その不変性も人間を魅了する理由でしょう。なので、昔から政治リスクや地政学リスクなど貨幣価値を揺るがす現象に備えるために、資産構成の数%から10%ほどはゴールドを持つことが推奨されることがありました(もちろん、どのような資産構成にするかは、各人のライフスタイル、リスクの取り方で変わります)。実際、世界各国の中央銀行の保有資産を見てみると、必ずと言っていいほどゴールドを保有しており、最近では米ドルの保有額を減らしてゴールドの比率を高める中央銀行も増えています。

 

  ■世界のルールの変化

 

 なぜ、ここ数年でゴールド価格が急騰しているのでしょうか? 理由は大きく3つ挙げられます。1つ目は、そもそも円安で円の価値が下落しているので、円とゴールドの交換レートに影響しているということです。ゴールドは、基本は米ドルで取引されているので、円安ドル高から影響を多く受けています。2つ目は、東欧や中東での戦争により、世界で一番決済手段として用いられている米ドル以外も持ちたいと考える投資家が増えつつあることです。よく、有事のゴールド買いと言いますが、戦争で米国経済への影響を危惧する動きが出ると、ゴールド人気が出やすくなります。3つ目は、約80年間続いた世界のルールの変化を見越した動きが出ているからと言われています。戦後から、世界はアメリカ一極集中で、アメリカが世界警察のような動きをしてきました。それに伴い、米ドルは世界通貨として成長してきました。しかし、中国が力を持つことで世界が多極化する可能性が高まり、中東や中南米では米ドル離れを模索し始めており、中国人民元での決済を認める資源国も登場してきました。さらには、中国とロシアの中央銀行がこうした動きを見越してか、自国の信用力を高めるためにゴールドを大量に購入し、ゴールド価格を押し上げるような動きをしています。

 

予言者とも言われたことのある元クレディ・スイスのエコノミストであるZoltan Pozsar氏は、私たちが想像するよりも多極化する世界の到来と、米ドル離れと、それに伴うゴールド価格上昇は続くと予想して、世界から注目されました。さて、本当にそのような動きが出てくるのか……。今年11月のアメリカ大統領選挙で、トランプ氏が大統領になれば、そうした展開が早くなるかもしれませんし、さてどうなるか……。

 もしもに備えて、あらゆる資産に分散をするのは悪いことではないと思います。自己投資も忘れずに、引き続き資本市場をウォッチしていきます!