監督
リー・アイザック・チョン
ジャンル
アクション アドベンチャー・冒険 スリラー
出演
デイジー・エドガー・ジョーンズ as ケイト
グレン・パウエル as タイラー
アンソニー・ラモス as ハビ
ブランドン・ペレア as ブーン
キーナン・シプカ as アディ
デヴィッド・コレンスウェット as スコット
サッシャ・レイン as リリー
鑑賞方法
映画館(ドルビーシネマ)
観る地域によって環境は違うのでしょうけど、私の地域(大阪)では同日上映の『インサイド・ヘッド2』にラージ・フォーマットの劇場はジャックされてしまっていて、ほとんどの劇場ではレイトショーの回しかかかっていないという異常事態。
それでも何とかドルビーシネマに課金したいので久々に深夜の時間帯に映画鑑賞。
まあ、今の時期は暑いのでこれはこれでありだったかな。
しかしこういうポップ・ムーヴィーは気軽にフラッと立ち寄って観るような感覚でみるべきはずで、わざわざ前もって時間を調べて行くような性質の作品ではないのも事実。
なんだか映画館に行く前からもやもやした感じながら、映画館はレイトショーにもかかわらずそこそこの観客数。
ライトなユーザーのお客様も多い様子で、予告編が続く中、「予告がエライ長いなぁ」とマダムが割と大きな声で言ったのには、”いやいや最近はずっとそうやで”と心の中で返答をしましたね(笑)
ほんとこの時間も見越して入館してもいいんじゃないか?とも思うのですが、上映前に来ているひとたちの客層を観るのが楽しみでもあるし、ワクワクしながら待つ時間も楽しいので上映開始時間プラス30分前には映画館にいたいんですよね。
そんなこんなで『ツイスターズ』本編上映スタート。
初っ端から竜巻のものすごい描写からスタート。
前作『ツイスター』同様、登場人物と同じように観客も竜巻の怖さを脳裏に刻み込まれるのですが、そこからの話は『ツイスター』をなぞるも人間ドラマにもしっかり重点が置かれていて、観終わるころにはデイジー・エドガー・ジョーンズとグレン・パウエルのことが大好きになってしまうくらい感情移入させられます。
上手いストーリーテリングなら、主人公にどうしても共感できない性格の弱点をつくってそこを軸に話をつなぐのですが、この映画では90年代のシネコンバブルのころのアクション映画のように、そういう心の揺れは描きません。主人公は強く有能で勇敢なヒーローとして描かれます。代わりに『ツイスター』より練られてるいるのは竜巻をめぐる団体の小競り合いを善悪をうまくツイストさせて、ストーリーに彩りを持たせています。
ガンダムで例えれば、1作目を『ファーストガンダム』とすれば、今作は『Zガンダム』の勢力相関設定を『ZZガンダム』の人物設定でつむいだようなつくりで、”地球連邦軍”だったはずの調査団体を”ティターンズ”のように変え、”反地球連邦組織エゥーゴ”の目線で見た世界観でのストーリーに反転させていくあたりはやっぱりアガる筋立てになっています。
最初に「やな奴」認定したオトコと心が通っていく部分は『耳をすませば』とか『君の名は。』とかと同じでこれもやっぱりどんどん主人公に感情移入しちゃうんですよね。
あと、こうしたスカッとするアクション映画って、大抵は男性が主人公なのですが、『ツイスター』は男女二人が主人公の珍しい映画だったし、本作『ツイスターズ』はさらに突き抜けて何なら女性が主人公といえる作り。
なるほど、『ツイスター』を現代に蘇らせたのってそういう意味でのリスペクトも捧げていたのかな、と。
男性を女性の主人公が乗り越えるべき”敵”の設定で取り上げることの多かった10年代後半あたりからの異常な時代を抜けて、理解ある優しきパートナーとして描いても時代遅れとは取られない空気になってきたということでしょう。
ドラクエやファイナルファンタジーのようなトップクラスのネームのゲームでも主人公が女性設定できるものはまだまだ少なく、FF6やDQ3ぐらいです。そんななかDQ3がリメイクされてリリースされるというのも同じく時代の流れでしょう。
親が女性の子供に名作シリーズのゲームを体験させる際に、女性は名作ゲームのシナリオではサイドキックにしかならない存在、という先入観を持たないようにできる世の中に早くなってほしいという思いは、映画において、恋愛ものでしか女性主人公は量産されないという伝統も打ち破って夢や希望をもっと自由に持ちやすいロールモデルを体験しやすい環境になってほしいということにも通じます。
行き過ぎた歴史改変や事実変更は教育に悪影響なので絶対にダメだと思いますが、万人がエンタメ作品を享受する中で、性差などで不要な限界を感じない社会にはできるだけ早くなってほしいと思います。
本作のグレン・パウエルが見事に主人公のサイドキックを演じきって、ものすごい魅力を感じたからこそ、こういう作品はもっと作られてほしいと感じました。
当作品が舞台となっているのはオクラホマ州。
経済・人口など繁栄という尺度ではカリフォルニア州などに遠く及ばない存在ながら、保守的な田舎の州を見事に魅力的に映し出しているのも、リー・アイザック・チョンの手腕のすごさ。
普段は経済的にも、人口的にも目立たないこの州も米国の大統領選では州代表の選挙人選出、というタイミングでは、選挙人の数は週単位でかなり平等に扱われるので、立場を逆転させられる機会がきます。
今年は米大統領選の年、地方の力を示すことができるオクラホマなど田舎の州の躍動の年でもあるわけで、そうしたタイミングでこの映画が米国の地方の劇場で大当たりしているのは、やはり時代とポップ・カルチャーは切り離せないものなんだと改めて実感したことも加えて言及しておきます。
地方の逆襲として共和党が勝つのか、女性の躍進として民主党が勝つのか、米国も二つの竜巻が同時に猛威を奮う見込みです。


