監督 アントワン・フークア
脚本 ジョン・ローガン
ジャンル 音楽/伝記
出演 ジャファー・ジャクソン as マイケル・ジャクソン
・・・ジュリアーノ・クルー・ヴァルディ as 若き日のマイケル
・・・コールマン・ドミンゴ as ジョセフ・ジャクソン
・・・ニア・ロング as キャサリン・ジャクソン
撮影 ディオン・ビーブ
編集 ジョン・オットマン
・・・ハリー・ユーン
・・・コンラッド・バフ
上映アスペクト比
1.85 : 1
鑑賞方法
TOHOシネマズ なんば(IMAX)
あべのアポロシネマ
当ブログを古くから知る人は知っておられるかもしれませんが私は自他ともに認めるマイケル・ジャクソンのファンです。
そして彼のファンだからこそ取り巻きにイエスマンしかいなくなった状況からくる数々の失敗によってキャリアを台無しにしてしまう事態には残念な気持ちを抱えもしてきました。
そのあたりの微妙で複雑な気持ちは彼の死や映画『This is It』のタイミングで書いたのでここでは触れません。
ただ、本作の上映にあたり、さすがに彼の人生を語る伝記映画ということで再び複雑な気持ちがこみ上げてきました。
彼の数々のゴシップネタをどう扱うんだろう?
それを描いてくれないほうが見終わった後にすっきりするのか、それとも逆なのか?
だけどやっぱり彼の伝記映画を観に行かないというのはやっぱり違う、ということでIMAXで鑑賞。
結論、よかった。
だけどそういうもやもやした気持ちで観に入った分、変に身構えて十分に堪能しきれなかった部分がありました。
このまま劇場公開を終えてしまったとして、音楽アーティストの映画を自宅で観るのはやっぱり物足りないし、意を決して2回目を鑑賞。
結論、やっぱりよかった。
ということで作品の感想を残すことにします。
すでに情報が出回っていると思いますが、この映画はマイケルのバッドツアーでのパフォーマンスが最終のクライマックスとして描かれており、マイケルがスキャンダルまみれになる一歩手前までの半生が描かれます。
つまり、彼が青年期に入り、ソロ・アーティストとして世界的な知名度と人気を獲得したあと、初めておこなったソロ・ツアーをゴール時期にしています。
少し前なら全盛期をアルバムの商業的成功とするはずで、その場合は『スリラー』のときか『BAD』のときかと悩ましいのですが、ライブを軸にキャリアを切り分けるとこうなるんだと妙に納得できました。
いかにも21世紀的な音楽アーティストの解釈です。
1回目の鑑賞時も2回目の鑑賞時もそうですが、やっぱりマイケル・ジャクソンという伝説のアーティストであるだけにメインの顧客年齢層はやや高いようにも感じましたが男女比も半々、若い人も結構いました。
1回目は6月の公開週、2回目は9月に入ってから行ったのですが、両方とも結構お客さんも入っていてしかもところどころ笑いなんかも起きてみんな楽しそうに観ていました。
とにかく少年期のマイケル役のジュリアーノ・クルー・ヴァルディ君の演技が素晴らしい。
時間の半分は少年期に割いていたので成人したマイケルを演じるジャファー・ジャクソン君とのダブル主役といっても差し支えないです。
名曲の数々を次々に披露しながら進めていくストーリーは全く飽きが来ず、お気に入りの曲が出てきたときは思わずニヤッとしてしまいました。
ジャクソン5期の"ABC""Who's Loving You""I'll Be There"、ソロ期の"Don't Stop "Til You Get Enough""Beat It""THriller""Billie Jean”"Wanna Be Startin' Somethin'""Human Nature"などなどあげていたらキリがない。
それに加えてJacksons時代の曲もやってくれて、"Blame It on the Boogie""Workin’ Day and Night"が流れたのは嬉しかったです。
ストーリーには山あり谷ありという部分が映画である以上必要不可欠で、ゴシップネタをやらないとしたらそこはどうするのかと思ったら強権的な父親との確執を描くことでうまく料理していました。
映画でよく使われるテーマとしての「父殺し」のモチーフを使ってきたわけでこれはアントワン・フークワの作戦勝ち。さすが名匠です。
その分ストーリーはややもすると定番の英雄譚になっていますがあんまり脚本の浮き沈みが激しすぎると歌がもはや入ってこないのでこれでいいと思います。
映画の最後に「続く」と出るのでこりゃワンチャン続編作る気があるぞ、という制作サイドの意思を感じましたね。
年内にも撮影が始まるようですがアントワン・フークワが監督を続投できるのかどうか?
もし彼が監督できないなら、私は続編を作るのが大得意のニア・ダコスタ監督にお願いしたいです。
かつて毛沢東は『水滸伝』を評して梁山泊に英雄が集う部分までは素晴らしいが、そのあと政府にうまく利用されてどんどん英傑たちが死んでいく後半は蛇足であると言いました。実際、私もそこまではワクワクして面白かったのにそこからはどんどん暗くなっていくので同じ意見を若いころは持っていましたね。三国志だって孔明を迎えて三国鼎立が実現するところまででいいんじゃないかと思っていました。ただ、今はそのあとの悲劇的な展開もあっての物語の深みであると受け止めるようになっています。最近では『ウィキッド』も前半はアゲアゲ展開なのに、後半はちょっとしんどい展開でしたし、一般的な評価も後半は低くなっているのですが、それでもこの後編は必要であったし、ひとつの作品なんだと思います。
おそらくマイケルの続編は涙なしには観れないでしょう。
身から出た錆とはいえ世界の頂点を見た男が世界のドン底を観て、さらに不死鳥のように復活する兆しを見ながら死んでいったのですからね。
あまり語られていなかった父親マイケルの部分もせっかく近親者の協力もあるんだから丁寧に取材して美化しすぎず見せてほしいです。あれだけ子供好きのマイケルのことなので、普通の父親像のエピソードも必ずあるはず。
ゴシップとの戦いがどうしても続編のメインの”山あり谷あり”部分になるのでしょうけど、それだと映画の最後の盛り上がりに持っていくジャンプ台にはならないので、そこに父親との確執をうまく本作で組み込んでいるのはどう考えてもいい仕事。やがて家族を持ち、父親になるマイケルが公私ともに味わう苦楽の中で、子は父を赦すのか、という強力な筋が通ります。
続編の最後に流れる曲は何になるのかな。
’Black or White”
”Heal the World”
”Will You Be There"
"Childhood"
”Man in the Mirror”
あたりかな?
サイーダ・ギャレットとの”I Just Can't Stop Loving You”
エイコンとの”Hold My Hand”
も聴きたいって言えば聴きたいけど・・・。
Rケリーの問題がちらつく”You Are Not Alone”はやっぱりないだろうし・・・。
”We Are the World”はありかも。
