『ウィキッド 永遠の約束』 | ポップ・ミュージックのトリコ

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流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

監督 ジョン・M・チュウ
原作 グレゴリー・マグワイア
脚本 ウィニー・ホルツマン 

   デイナ・フォックス
ジャンル 恋愛/ファンタジー/ミュージカル
 出演 シンシア・エリヴォ as エルファバ
   アリアナ・グランデ as グリンダ
   ジェフ・ゴールドブラム as オズの魔法使い

   ミシェル・ヨー as マダム・モリブル

撮影 アリス・ブルックス 

編集 マイロン・カースタイン

上映アスペクト比 2.39 : 1

 

鑑賞方法
Tジョイ 梅田(ドルビーシネマ)

 

今年楽しみにしていた映画の筆頭格、『ウィキッド』の続編を鑑賞。

劇場は私の大好きな映画館のひとつ”Tジョイ 梅田”。

駅からのアクセスもいいし、都心部にありながらちょっと隠れ家的な場所なので人がゴチャゴチャいないのも魅力。

贔屓の映画館と言いつつ、かかる映画と私の趣向や上映時間がかみ合わず最近利用頻度が下がっていたのですが、作年末あたりから徐々に回数が増えて今年に入ってからは6回ほど利用してます。ドルビーシネマ大好きなんですよね。

 

さて、劇場に入って上映までワクワクしながら待ってると、映画館は日曜の朝一番の回でしたが8割ぐらい埋まっていてしかも7~8割は女性のお客さん。たいてい男性が多い印象のラージフォーマット上映にあって、これは珍しい。そういえば『ウィキッド』の前編もこんな感じでした。

 

さて映画が始まるといきなりアクションシーン!

いやいや意外でしたね。そこでグッとストーリーに引き込まれてからはめくるめく展開と超絶なクオリティの歌唱のオンパレードであっという間でした。元ネタである『オズの魔法使い』とクロスオーヴァーしてゆく物語も楽しくて、ついニヤニヤしてしまいました。

ただ、ストーリーはエルファバが西の魔女になると決まっている以上、ダークな展開になるのは必至なわけですが、その胸糞悪さは想像以上で、ウィキッドの原作が、湾岸戦争の際に悪者にされてゆくアラブの国の指導者が「本当に悪いのか?」という問いをオズの魔法使いをモチーフに描いた作品だったことが色濃く出ていました。とはいえ本作はその原作をもとに女性の友情にフォーカスしてつくられたミュージカルを土台にしているので、やむを得ない事情で敵味方に分かれてしまった二人が運命に飲み込まれつつも本当の自分の望む生き方を選び取る作品になっていて、とても見応えのある作品に仕上がっていました。

二人の歌唱や信条の吐露に時間がたっぷり割かれている分、ちょっと大きなストーリーの流れや二人以外のキャラの状況が分かりにくい部分もあるのですが、そこは情報量が多くなると本作のメインテーマが弱くなるので極力簡素化したのでしょう。

ちゃんと笑えるコミカルなアクションシーンや絶対泣ける迫真の演技など見せ場もたくさんありました。特にアリアナ・グランデ扮するグリンダは込み入った状況と感情を表現しなければならないシーンがかなり多く、それをきちんと演じきった彼女はしっかりアクターのキャリアにも足場を築きました。エルファバを演じたシンシア・エリヴォに関しても若手のはずなのに堂々たる演技で本当にそこに魔女が実在しているような説得力がありましたね。そしてミシェル・ヨーが演じるマダム・モリブルは本作における動力源で、彼女の悪役ぶりこそが、物語のキーですが、ミシェルはまあなんとも容易く極悪なキャラクターを演じきっていました。

これだけすごい内容だけに、上映中はあちこちてすすり泣く声が聞こえたり圧巻の作品でした。

90年代といえば日本ではまだ男女雇用機会均等法が施工されて間もないころで、まだまだ女性社員はOLと呼称され、社会で活躍する場も限られていました。欧米においても日本よりはマシだったにせよ、映画のヒロインは人物描写がそれほど深くなく、きれいとかカワイイが主な評価基準で自立した女性像となるとエイリアンのシガーニー・ウィーバーみたいに”男みたいな”女性でした。そんなころにあって当時としてはこの作品の原作は女性を見事に活写している先進的な作品だと思います。もちろん、今現在の価値基準からすると、もはや恋愛要素はもっと減らしてしまったほうがリアリティがある話になるのかもしれません。しかしそんなことは二人の演技の前にはまったく気にならないものになります。

物語が完結して少し寂しいけどまあ、仕方ありません。

「さようなら黄色いレンガの道」!