監督
セリーヌ・ソン
ジャンル
恋愛
出演
グレタ・リー as ノラ
ユ・テオ as ヘソン
ジョン・マガロ as アーサー
Moon Seung-ah
Seung Min Yim
鑑賞方法
映画館 行きつけの近所の映画館
↓
自宅にて動画配信を視聴
鑑賞した映画のレビューが全く追いつかず、どうしたものかと思っていますが、配信開始のタイミングで再度観なおした映画だけは観たタイミングで書いていこう、ということで本作。
これ恋愛映画っていうジャンルになってるけど、それはなんか違う気がするなぁ。
たしかにその要素は全体のフォルムとして借りてるけど、伝えていることはそういうことではないと思います。
今年は『落下の解剖学』のミステリー仕立てといい、見かけとテーマがずらしてある作品が目につきます。
この映画はでは一体なにを語っているかというと、封じ込めたペルソナの解放と、それによってやっと一人前の大人に成長するに至るというオトナが本当のオトナに成長する話。
主人公は、韓国から米国への移民の体験により、自分の内面にある泣き虫という人格を封じ込めていかにもさばさばとした都会的な人物として新天地で暮らしていた。
ところがそこに幼少期の初恋の男性が韓国から訪れ、彼によってその当時の泣き虫だった自分にやっと向き合い、封じ込めて表に出すことのなかった自分の弱い部分をやっと表に出すことができるようになった。
それは弱くなったのではなく、自分の弱いところも認められる強くそして人格的に豊かなオトナに成長できたのだということ。
かつての幼少期の初恋の男性は、今の夫から彼女を奪い去りに来た存在としてではなく、捨ててきた弱虫の感情を韓国から送り届ける精霊のような役割で描かれる。
確かに彼は彼女のことを忘れられずに来るのだが、弱虫だったあのころの彼女の心のパーツだけを抱えて米国に来た彼は結局彼女とは縁がないことを悟り、帰りはひとり傷心を抱えて帰国の途に向かう。
美しい、ホントに美しい話。
社会に生きる人間なら絶対抱えている傷口のような部分をそっと撫でてくれるような作品。
これを急ぎすぎず、かつ冗長にならないギリギリのテンポで話を紡いで、温かくも切ない物語を届けてくれる、そんな作品です。
