『チャレンジャーズ』 | ポップ・ミュージックのトリコ

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流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

 

監督 
ルカ・グァダニーノ

ジャンル
ドラマ 恋愛 スポーツ

出演 
ゼンデイヤ as タシ・ダンカン
ジョシュ・オコナー as パトリック・ズワイグ
マイク・ファイスト as アート・ドナルドソン

鑑賞方法
映画館(近所行きつけ)

 

こういう映画ってどんな人が観に来るのかな?なんて好奇心もありながら映画館に行くと、客席には割と女性が多くてしかも30~40代あたりの方が多い印象。

女性誌とかで特集されてるのかな?とか想像をめぐらしながら開演待ち。

 

さて開演しょっぱなからテニスのラリー。

そしてBGMはEDM!

 

 

 

劇の序盤はゼンデイヤの魅力がスクリーンを超えて伝わってくるのですが、次第にゼンデイヤを取り合う二人の男の試合を通じて彼らの色気の方こそ画面からあふれ出してきて、エロいシーンなんてほとんど無いのになぜかセクシーな香りが映画館に充満していました。

さすがルカ・グァダニーノ監督。

ジメジメしたり、見る人によっては嫌悪感が出そうなBLの要素を万人が違和感なく受け入れられるところまで丁寧に味付けしています。

もちろん人物描写だけでなく、テニスの試合も斬新な発想で臨場感が増していて、監督の才能も映画全編を通じて感じることができるのも本作の魅力。

そして、スポーツの試合のシーンだけでなく、男女の言葉や気持ちのやり取りのような甘いシーンでさえも、心臓の鼓動のBPMが上がるように、爆音のEDMが鳴り響くという演出になっているのもヘンなのにうまく作用していました。

 

この映画において”テニス”は”恋愛”のメタファーといて機能しており、ゼンデイヤ演じる主人公は劇中でテニスの神髄は”関係性”にあるといいます。

つまりこの映画において恋愛は”関係性”に一番萌える要素がある、ということ。

 

そしてテニスをしている男二人のゼンデイヤをめぐる関係性の描写がどんどん解像度を増して暴露されていく中、繰り広げられるテニスの試合もまた、クライマックスに向かい、緊張感は最高潮を迎えていきます。

劇の最後にゼンデイヤが叫ぶ「C'mon!!」は、日本語でいうところの「キターーーーーー!」ぐらいのテンションでビンビンに伝わってきました。

男性目線から見た男二人が女性一人を取り合う物語は女性目線から見ればその男二人の関係性萌えの激アツ展開なんていうのを匂わせではなくハッキリとメインのストーリーラインとして描くのは、ありそうでなかった恋愛映画の切り口です。

まあ、二次創作BLものではよくある展開でしょうけど・・・。

 

客電が点いた時に”すごい面白かった”という気持ちと、”すごいエロいものを見てしまった”という背徳感が入り混じってなんだかすごい充実感があるのに目が合ったりするのが恥ずかしくて立ち上がりにくかった映画でした。

こんな経験も初めてで唯一無二の貴重な体験です。

 

当ブログ的には音楽を担当しているのがトレント・レズナーとアッティカス・ロスの二人ということは見逃せないところ。そう、ナイン・インチ・ネイルズです。

 

これは全く余談ですが、この映画を観ているとき、なぜか脳内でWham!の"Battlestation"が鳴っていました。テニスボールのバウンドする無機質な音の連続と痴話喧嘩が脳内でこの曲に結びついたのかもしれません。