今年も例年通りIFPI(国際レコード産業連盟)が発表した世界レコード産業の売上実績を取り上げます。
2016年の世界レコード産業の売上は、パッケージ売上で前年比7.6%減となる54億ドル、配信による売上は前年比17.7%増となる78億ドル、それに権利収入22億ドルと”シンクロ収入4億ドルを加えて、合計157億ドルで前年比5.9%増で過去20年で最も顕著な成長を記録した年となりました。
米国でのストリーミングサービスが前年比80.5%の急成長を遂げたことが大きく、ダウンロード売り上げが22.6%減となりながらも音楽配信が米国レコード市場の70.8%を構成するまでになりました。
世界第2位の市場である日本も2016年は依然好調で、パッケージ売上が前年比1.3%減となりながらも、ストリーミング売上が前年比61.6%増となったことで日本の音楽市場は1.1%増となりました。
国別で見るとトップ5は今年も相変わらずの5国。
1位 米国(14年:49億ドル⇒15年:50億ドル⇒16年:53億ドル)世界市場シェア34%
2位 日本(14年:26億ドル⇒15年:24億ドル⇒16年:27億ドル)世界市場シェア17%
3位 英国(14年:13億ドル⇒15年:14億ドル⇒16年:13億ドル)世界市場シェア8%
4位 独国(14年:14億ドル⇒15年:13億ドル⇒16年:12億ドル)世界市場シェア8%
5位 仏国(14年:8億ドル⇒15年:8億ドル⇒16年:8億ドル)世界市場シェア5%
上位5カ国の顔ぶれや順位は変わりませんでした。
日本と米国で世界の音楽産業の50%のシェアを占めている現状はほぼ変わりませんが、日米ともに昨年よりさらに伸びている傾向にあるということになります。
上位5カ国によるシェアは昨年よりさらに1%ダウンし72%になり、上位5か国で世界の4分の3以上のシェアを占めてきた体制は過去のものになりつつあります。音楽産業の新興国の存在感がさらに増していることから昨年、一昨年に引き続き、6位以下の状況も見てゆきます。
6位 加国(14年:3億ドル⇒15年:3億ドル⇒16年:4億ドル)世界市場シェア2%
7位 豪国(14年:4億ドル⇒15年:3億ドル⇒16年:4億ドル)世界市場シェア2%
8位 韓国(14年:3億ドル⇒15年:3億ドル⇒16年:3億ドル)世界市場シェア2%
9位 伊国(14年:2億ドル⇒15年:2億ドル⇒16年:3億ドル)世界市場シェア2%
10位 蘭国(14年:2億ドル⇒15年:2億ドル⇒16年:2億ドル)世界市場シェア2%
ブラジルがトップ10から転落し、オランダが返り咲いてきました。
カナダ、オーストラリア、韓国、イタリア、そしてオランダと、どの国も好調で世界市場での存在感を増してきています。そして、おそらく来年か遅くとも再来年には今年12位の中国がいよいよトップ10にランクインしてくるでしょう。著作権ビジネスが根付くことが難しいと思われていた中国が、いよいよ法整備やインフラシステムの構築が進み、音楽大国への一歩を踏み出そうとしています。
人口では人類史を通じて他の地域を圧倒するアジアがとうとう文化面でも主たる地位を回復する時期が少しずつ近づいています。
内向きの米国、分裂するEU、この200年ほどの世界の主役たちが揃って変調をきたす中、日本の果たす役割の変化にも無自覚なままではいられません。
米国のトランプ政権誕生に始まり、各国が反グローバリズムに向かう今、音楽サービスもサブスクリプションサービス運営各社による囲い込みが、どんどん進行しています。
そして、パッケージではCDが廃れ行くのと合わせて、アナログレコードの売上が伸長し、存在感を増してきています。
アナログ・ローカルというトレンドが、とんでもないスピードで高度に情報化された現代に広がりつつあります。