
これを書くまで2010年は終われません。
すっかりレビューを書くタイミングが遅くなりましたが、2010年の最後に出たこのアルバムによって、21世紀のはじめの10年間が締めくくられたのでした。
前作までの、Tペイン発祥のオートチューン使いもあるものの、これまでの彼の音楽キャリアをグッと押し込めたような、有り余る才能と、有り余る製作費用によってつくりあげられた本作は、まるで万華鏡を覗くかのような、楽しくも不可思議な世界。
わざわざ大金をかけて製作した音源を、限りなくローファイにしたり、コラージュにしたり、一方では下らないアイデアをとことんアーティスティックに昇華したりともうやりたい放題。
これはカニエにとっての『サージェント・ペパー』でしょう。
音楽界がシュリンクしてゆく中で、もうこんな馬鹿馬鹿しい程贅沢なアルバムが製作されることは無いかもしれません。
"Dark Fantasy"
アルバムのオープニングはこの曲。
壮大で猥雑。
"Power"
キング・クリムゾンをサンプリングに使うという大技。
"All of the Lights"
アルバム中一番のお気に入り。
"Monster"
客演しているニッキー・ミナージュにとっても彼女のキャリア中、ベスト・トラックといっていい出来栄えの神曲。
"Runaway"
この曲の持つ世界観はPVで補完したほうが手っ取り早いです。
自分の生きている時代に名作が生まれ出る瞬間にもう一度立ち会えた事に感謝しています。
私にとって、それがポップだろうと、ロックだろうと、ヒップホップだろうと大きな問題ではありません。
体の芯から痺れるような音楽に出会えることこそが喜びなのです。
音楽が好きでよかった。