
クインシー・ジョーンズ名義の久々のオリジナル・アルバムなので購入。
異常に評価が低く、日本版も出る予定が無いという、御大のディスコグラフィから抹殺されそうな勢いなので、世の中から消え失せる前に手に入れました。
例えば、『バック・オン・ザ・ブロック』とか『Qズ・ジューク・ポイント』のように、御大なりの現在進行形ポップ・ミュージックの解釈というより、過去の御大の作品を現在進行形のアーティストがカバーしたトリビュート盤としての色彩が濃いので、クインシーの作品という内容として聴くと、えらく”ミーハー”な感触ですが、逆にクインシーに敬意を持って、クインシーの曲に思いの丈をぶつけて声のかかったアーティストが挑んだ作品と考えるとほほえましいです。
選ばれたアーティストは、”We are the World”の新録盤に加わっていたメンツが多く、クインシーの信任が厚いのでしょう。
あこがれの大センパイから声がかかった時の彼らのドキドキを想像しながらアルバムを聴くと、「オシャレという評価の高いセンパイの作品に”時代遅れでダサい”というレッテルを貼らせるようなマネはできない」と一生懸命試行錯誤した跡が見られてほほえましいです。
"Ironside" (featuring Talib Kweli)
日本では古くはテレビ番組『ウィークエンダー』でお馴染み、しかも最近は『キル・ビル』の戦闘テーマとしても使われていたので、聴けば皆知ってる楽曲。
これをタリブ・クウェリが料理します。
これはクインシー御大も老体に鞭打って制作陣に名を連ねているだけに、”クインシー・クオリティ”をきっちり保っている楽曲となっています。
"Strawberry Letter 23"(featuring Akon)
シャギー・オーティス版やブラザーズ・ジョンソン版がサンプリングネタ元としても有名ですが、これをエイコンがモダンにリメイク。
"I Wanna Sex You Up"Color Me Badd
"Be With You"Beyoncé
"Ms.Jackson"Outkast
"Soul Bossa Nostra"(featuring Ludacris, Naturally 7, & Rudy Currence)
"Soul Bossa Nova"です。
同じ曲を既にサンプリングで使用済みのリュダクリスが参戦。
"Number One Spot"Ludacris
映画『オースティン・パワーズ』でお馴染みの曲。
"Tomorrow"(featuring John Legend)
テヴィン・キャンベルのカバーです。
ジョン・レジェンド風味のオトナの魅力があふれる渋い味わいになっています。
"Get The Funk Out Of My Face" (featuring Snoop Dogg)
スヌープがレイドバックしたファンク音楽と触れあうと、もはやそこはウェッサイ天国に生まれ変わります。
渋い!
"Many Rains Ago (Oluwa) " (featuring Wyclef Jean)
米国人なら知らない人はいないというテレビドラマ『ルーツ』の曲。
ワイクリフらしい選曲。
"P.Y.T. (Pretty Young Thing) "(featuring T-Pain & Robin Thicke)
このアルバムの低い評価を一身に背負っているとでも言うべき、Tペインのカバー。
そりゃこの時期にマイケルの曲のカバーですからハードルは上がりきっています。
オートチューン・エフェクトの氾濫がそろそろ退潮に向かっていることの証左でもあると思いますが、こういう時期にその戦犯として彼が祀り上げられることはある程度予想できたこと。
クインシーだってそういう状況が予見しえただけに敢えてTペインにこの名曲のリメイクを依頼したのでしょう。
時代の徒花で終わらせてはならないTペインが00年代に成したムーヴメント。
カニエがそのオートチューン・エフェクトをきちんと取り入れて作品を残したのと同じような男気をこの曲の収録に感じます。
私はこのアルバム中の作品ではかなり満足している曲です。
それはやはり00年代が、彼の時代であったと私は思うからです。
Tペインが”Tペイン”自身を総括したような一曲。
"It's My Party" (featuring Amy Winehouse)
レスリー・ゴアによる、初のクインシーのプロデュース作品の全米1位曲。
60年代音楽をやらせるならこのコンビ、エイミー・ワインハウスとマーク・ロンソン組によるカバー。
ナンシー・シナトラばりのセリフも入ってアダルトな雰囲気に。
"Hikky-Burr" (featuring Three 6 Mafia & David Banner)
ビル・コスビーによるテレビ番組のテーマ・ソングのカバー。
大好きなスリー6マフィアとデヴィッド・バナーの共演によるカバー。
このアルバム中、一番好きです。
まるで私のためにクインシーが作ってくれたような一枚。
世の中で評価されなくても私にとっては一足早いクリスマス・プレゼント。