
”クール・ブリティッシュ”なる言葉がロンドン五輪にむけて様々なメディアで取り上げられたものの、世界同時不況の影響もあって、特に金融で富を得ていた英国は、現在勢いに少し翳りが見られます。
しかし、国をあげての”クール・ブリティッシュ”の取り組みは、そもそも文化、芸術、観光など、英国の持っている価値をきちんとブランド化して大きな産業にしようという壮大なもの。
今回の行き過ぎた金融市場の暴走の結果としての不況から抜け出るには、次なる産業の育成は不可欠。
産業資源ももたず、人口も増えず、市場が成熟した英国にとっては、他に選択支がほとんどない状況。
まさに背水の陣。
しかし、英国には芸術の神、MUSEがいます。その新作を聴いて、運命は英国に見方していると確信しました。
そう、大胆にも芸術の女神、MUSEを名乗る彼らの新作は、ドラクロワの”勝利の女神”の絵のように、英国の音楽の未来を力強く牽引していくがごとくの、神がかった魅力に満ちています。
"Uprising"
自信と確信が満ち溢れた楽曲。これがアルバムの冒頭にいきなり聴く者に降りかかるのです。
"United States of Eurasia (+ Collateral Damage) "
クイーンへのオマージュたっぷりな作品も素晴らしい。曲終盤では何故かショパンの”ノクターン”。
"Guiding Light"
到達しているラインとしてはU2の代表的な作品にも匹敵する幻想的な美しさ。
"Exogenesis: Symphony Part 1 (Overtune) "
アルバムの最後はまさにこの作品の核心部分。このアルバムを手にする大部分の意味はここに凝縮されています。組曲形式という圧巻のスケール。第一章から壮大な展開。
"Exogenesis Symphony Part 2 (Cross Pollination) "
静寂なピアノの演奏で始まる第二章。神秘的なサウンド。
"Exogenesis Symphony Part 3 (Redeption) "
第三楽章はワルツ。もしくはスケルツォ。すべてを癒すような柔らかな音色が印象的。
オーケストラを伴う演奏はやはり独特の良さがあります。
ロックとオーケストラの融合は、過去にも多くのアーティストが取り組んできた課題。
彼らは組曲という大作でその伝統を受け継ぎました。
私は英国ロックを必要以上に引き立てる、日本の音楽マスメディアに辟易していて、そんな”ヨイショ”の対象になる英国ロックの評価には非常に厳しいのですが、これはもう認めない理由が見つかりません。