『Ocean Eyes』Owl City | ポップ・ミュージックのトリコ

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流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

$ポップ・ミュージックのトリコ-Ocean Eyes

00年代もいよいよ大詰めの段階に入ってくると、そのモチーフとなった80年代の総括も最終局面に差し掛かってきました。
シンセサイザーの音を前面に打ち出したニューウェーブのリバイバルは、昨年の末ごろから、ポップ・ミュージックの最前線にも当然のように使われ始め、今年に入ってからもその流行は全く衰えません。

振り返れば、レディオヘッドが『Kid A』でこの路線を提示したことが、そもそものきっかけだったのかもしれません。

80年代のR.E.M.がシンセの時代にアコースティックサウンドを提示したことが、”オルタナ”だったように、90年代のティンバランドらがアコースティックの時代に変則シンセビートを提示して来るべき00年代のデジタルビート時代に備えていました。
そして、00年代にロック界をも巻き込むポップ・ミュージック界全体のデジタル化が進みました。
これには、「着メロ市場の発達と需要の急増」という、商業的な理由もあって、雪崩のように音楽シーンを覆って行きました。

しかし、注目が集まれば、やはり埋もれていた才能にスポットライトが当たることも事実。
こうして、Owl Cityを名乗るアダム・ヤングという青年の紡ぐ音に世界が耳を傾けることになります。
A.Youngとイニシャルを使うと、くしくもDr.Dreことアンドレ・ヤングと同じになる彼は、その音楽に対する執着ぶりは偶然にも一致する部分があり、ジャンルも素養もずいぶん違うものの、音楽芸術に対するストイックさと、商業音楽に対する嗅覚の良さを併せ持った希代のサウンドクリエイターです。

さて、今回のメジャー・デビュー・アルバムでは、インディーズ時代の過去2作からもリアレンジして採録していたりして、これまでの心地よい滑らかなメロディラインが相変わらず印象的ですが、この盤では今までより少し無機質で硬質な音が意識的に使われています。それが本作の清々しい清涼感につながっています。

"Cave In"
音の表情が二転三転しながら紡がれていくのはクラシックの小品を聴いているような充実感があるのですが、押しつけがましくなく、少しずつ盛られた一品一品を味わって食べているような楽しさがあります。


"The Bird and the Worm"
このアルバムで一番のお気に入り。
インディーズ作で見せたハートウォーミングな雰囲気もあって、体が勝手に動き出す一曲です。

"Fireflies"
アルバムからのシングルカットです。
”ホタル”を曲名にするなんてなかなか情緒あふれる青年です。
日本人でも演歌以外ではなかなか耳にしない題材です。

2009年に入って、もはや感電死しそうなほど、ギンギンのエレクトリック・サウンドを浴び続けてさすがに疲れてきたので、こういう省電力なサウンドは心の芯に心地良くパルスが伝わり癒されます。