
ついに2009年が動き始めました。
本当にリリースまで待たされたエミネムまさかの新作がリリース。
ドレーとがっちりタッグを組んでの新作は、信じられないくらいヘヴィー級。
ドレーのビートがまるまる一枚入ったような作品自体久し振りなので、エミネムの新作としても、ドレーの新作としても楽しめる二重においしい一枚。
ドレーならではの聴くほどに深みにはまっていく中毒性の高いトラックはともすればとっかかりが難しい「一見さんお断り」の料亭の出す料理のように奥が深いのですが、エミネムにかかると、当のドレー本人よりもその味付けの妙を心得ていて、初めて聴くリスナーにさえそのツボがわかるように、独特のライミングでトラックをブラッシュアップします。
"3 A.M. "
アルバムの冒頭、この曲からこのアルバムはスタート。
アルバムのジャケットには、「1日1回午前3時に服用してください」のことわりが。
まるでホラー映画のような気味悪いエムのリリック。ドレーのトラックはここでは猟奇的な殺人鬼が迫り来る、不穏なテーマ曲として作用します。
"Bagpipes from Baghdad"
この人を食ったトラックの説明のようなタイトルどおりというべきか、トラック自体は、かつてのGファンク・サウンドのように中近東あたりの楽曲のようなあやしげなシンセのフレーズがぐいぐい聴くものを引きつけますが、リリックの内容はマライアの夫となったニック・キャノンをこき下ろす内容。このトラックにどうしてこの内容?と言いたくなりますが、これこそがエミネム流。
"Deja Vu"
アルバムはどこを切ってもハイ・クオリティですが、前半は結構新しいことにもちょくちょく手を出している印象もあるものの、それはかえってドレーのビート自体の変わらない魅力を伝えるにとどまっているように思います。それよりもアルバム後半が、ドレーの持っている引出しから全部出し切るように絞り出したビートが出てくる感触で、非常に面白いです。この曲ではそんな渾身のトラックに応えるかのようにエミネムは自身のこれまでの人生を総括するかのようなリリック。詞・曲の両面からデジャ・ブを表現しています。
"Beautiful"
エミネム自身によるプロデュース曲はこの曲のみ収録。おそらくアルバム中では最も最初に収録された部類になるのではないでしょうか。それは2年ほど前に袂を分かったはずのJ.Bassがクレジットに記載されているからです。かれとの共同で一度アルバムは完成に近付いていたのに、結局それをオクラにしてドレーとレコーディングしたわけですから、この曲はやっぱり捨てがたいものだったのでしょう。確かにこれまでエミネムになかったタイプの曲。曲の冒頭はクイーンのポール・ロジャースの"Reaching Out"で始まるという斬新さ。リリックの内容はこれまた彼の次の世代、これはエンターテイナーとしての次の世代、また父としての次の世代(つまり子供)にも向けたメッセージが真摯に語られます。
"Crack a Bottle"
やっぱりこのアルバムはこの曲をおいて語ることはできません。ドレーのビートへの飢餓感。エミネムの新曲。いろいろな要因が重なって世界中の人間がこの曲に飛びつき、その妙味に魅了されました。そしてこのアルバムがリリースされる日まで注文した料理が届くのをひたすら待つように我慢していたことでしょう。私もその中の一人です。そしてその素晴らしさに感動しています。
2009年、いきなりの大作の登場に、今後の今年のリリース予定作品にも期待が募ります。