マイケル・ジャクソンの『スリラー』の持つ記録を抜き、現在、最も売れたアルバムのギネス記録を持つイーグルスが、またしても歴史的な出来事をつくりました。
新作アルバム『Long Road Out of Eden』が全米1位を記録。25年ぶりのオリジナル・アルバムにして、すばらしい快挙です。
一週間で300万枚といいますから、これはそうとう売れているわけですが、実はこのアルバムはチャートに登場しない可能性もありました。
というのも、チャートを集計しているビルボードの方針では、単一の店舗網でしか売らないようなCDは売り上げ対象から外す、という物だったからです。そう、このアルバム、米国では大型のスーパー”ウォルマート”でしか販売されていない商品なのです。
よく輸入盤に「パレンタル・アドバイザリー」のマークの入ったバージョンのCDとは別に、そのマークの付かない、歌詞から暴力表現を抜き去った”クリーン”バージョンのCDがありますが、これは、ウォルマートが”クリーン”バージョンしか置かないことへの対策だったりします。
ウォルマートは米国のスーパー業界最大手で、その業界影響力で、あらゆる物流商品をメーカーに圧力をかけて有利に展開しています。
CDは米国では値引き販売ができるため、ウォルマートは、特売品の目玉として、よく新譜の原価すれすれの安売り(原価割れ?)をして、集客の切り札にしてきました。
その結果、ウォルマートは、米国で一番CDを販売する店舗に現在なっています。米国では、CDを買うといえば、大勢の人にとって、ウォルマートのCDコーナーで買うことになっているのです。以前mixiの日記に触れた事項に重なるので、この話はここまでにとどめます。
今回この流通業界の巨人、ウォルマートが、イーグルスと組んで、独占販売を仕掛けました。ビルボードはもともとレコード店の仕入れ担当が使用するツールとして生まれた業界紙。独占販売商品という、偏ったアイテムを本来扱うはずはないのですが、今回、その方針をぎりぎりに改変しました。そりゃ、300万枚を、ひとつの店舗グループが一週間で販売する事など、想定外だったのでしょう。
エジソンが蓄音機を発明し、エジソン・レーベルを興して、全米にシリンダー(蝋管)を販売し始めてから、100年が経過していますが、録音音楽の流通も時代にあわせて、形を変えていきます。