配信期間が終了しました。
見応えが過ぎる内容でした。ひとつに纏めつつ記録しておきたいと思いました。
《内容の記載については滑走屋公式の承諾を得ております》
『僕たちは釘付けになった
荒々しくも美しい 心揺さぶる75分に 息を呑んだ
3日間9公演14,000人を魅了した滑走屋 その道のりは決して平坦ではなかった
若手スケーター達も高橋の想いに必死に応えた
高橋大輔が未来を担うスケーター達と共に作り上げた新時代のアイスショー
その舞台裏に密着した』
滑走屋公式アカによる、有料配信“滑走屋~Making Documentary Film”の告知動画は
前記のナレーションだけであの夢のような時間の記憶が心の深いところから感情を連れてよみがえってきて、ちょっと泣けましたね。
配信告知時は上映90分程度の予定だったかと思いますが、実際なんと2時間27分
プロデューサー高橋大輔の奮闘ぶりは元より、メイン・アンサンブルのキャスト達が必死に食らいつく姿が観ているものの心にジュっと何かを焼き付けます。
ショー素人の若者達が、フィギュアスケートが好きという気持ちひとつで自身を捧げているさま、彼らの心が膨らんで最後涙とともに弾ける様子まで存分に見られて、
これはコアなファン用の密着と言うより良質な青春ドキュメンタリーでした。
NHKスペシャルさん、どうぞ買ってください。
フィギュアスケートエンタメ界に、斬新で没入度200%の新ジャンルが生まれる瞬間と、新たな挑戦の中で急成長する人間の姿が同時に見られます。
この過程で得たこと(足りなかったことも沢山あったね)、全てを晒しつつ
こういう場で輝きたいと思う人、作る側の人、応援する人、全てにとって参考になる番組だったと思います。
《滑走屋たちが駆け抜けた日々》
【2023年12月11日】
・構成会議
高橋大輔プロデューサー、振付師鈴木ゆまさん、アドバイザー他の方々で
全体の流れとメインスケーターのソロ演技の配置決定
【2024年1月27日~】
・スケーターに振付開始
ゆまさんの振付をまずはフロアでかなだいに伝授、更には氷に振付を降ろしていく作業
中西樹希さんが補助に入る
大輔さん既に左足を引きずっておりアイシング
【2024年2月3日】
・リハーサル初日
大会出場中のスケーター以外は全員集合、まずはフロアでの振付
アンサンブルスケーターは学生を中心とした14名、ひとり当たり16曲程度の出演シーンがある
事前に振付動画が送られ予習をして臨んでいるが、想像の10倍大変、と
振り入れ作業は深夜まで続く
【2024年2月4日】
・リハーサル2日目
全員の衣装合わせ 高橋Pはキャスト全員を見てチェック
衣装は基本真っ黒、イメージを付けずスタイリッシュに、人のキャラクターで見せる感じ
夜の氷上練習までひたすら床で振付練習
アンサンブルスケーター長谷川一輝さんが体調不良により出演キャンセル
急遽、振付補助で参加していた中西樹希さんが加入
全員で氷上でのリハ開始
【2024年2月5日、6日】
・リハーサル3、4日目
最後の一人メインスケーター山本草太さんが中国から帰国したその足で合流
仲間たち(主に高志郎君)の指導を受け振付を確認
全員が揃い振付順調に見えるが・・覚えに個人差も表れる
「言葉を伝えすぎても訳が分からなくなる、(言葉を)減らしてポイントをピックアップしてあげないと」高橋P
【2024年2月7日】
・リハーサル5日目
千葉・南船橋から福岡に移動 会場のオーヴィジョンアイスアリーナ入り
個々の振付細部への指導
会場入りしてもフロアでの振付作業は続く
ペア演技のあるスケーターに、かなだいを手本に表現の仕方を教える。見応えあり
【2024年2月8日】
・リハーサル6日目
本番2日前にして初めて氷上で曲をかける「カルメン」
高志郎君、星南君、草太君、リズム感も踊りのクセも違うのでまだバラバラである
「絶望してます」「寝る時間ない」と弱音を吐く草太君
氷上で接触のアクシデントがあり草太君が右脚スネ外側を切る(5針縫う)
相手を気遣い気丈に振る舞う優しい草太君(なんていいヤツだ)
【2024年2月9日】
・リハーサル7日目、本番前日ゲネプロ
アンサンブルスケーター北村凌大さんが体調不良により出演キャンセル
『振付家に与えられた振付を越えていくのがキャストの仕事。振付を見たい訳じゃない。その先の内面、出てくるものを見たい。』ゆまさん
【2024年2月10日】
・公演初日
メインスケーター島田高志郎さんが体調不良により出演キャンセル
本番まで4時間、急いで島田担当部分を修正する
「やばいよ、3人抜けたんだよ、結構つらみちゃんです。やられそうメンタル」と高橋P
友野君がカルメンの代役準備を始める
ゆまさん『新しい時代の幕明けだと思っています。皆さん、目にもの見せてやりましょう。』
初演を終えて涙する佳菜ちゃん哉中ちゃんゆまさん、ボロ泣きの大輔さん
「ほんとに皆参加してくれてありがとうございます。初日を迎えられて良かった、ありがとう」
3公演終えて高橋P「死んだーーーー」
「3公演目の要領の良さ、エグイ」友野君
身体メンテナンス後黙々とカルメンの振付を練習する友野君
「急遽お願いしたのに」「なんていいヤツだ(私的2回目)」高橋P
カルメンを口ずさみながら帰るお茶目友野君を見送りながら「うなされんじゃない?一希」
「高志郎のソロの流れがとても良かったので披露したかった」「アンサンブル達のお芝居的な演技もどんどん上手くなっている」「魅せる演じるのはいつまででも出来る、そういうところにフォーカスを置いてくれるスケーターが増えればいい」
【2024年2月11日】
・公演2日目
朝から友野君を加えたカルメンの練習
「一希ごめんね!」高橋P
「ちょっとやりたかったんで」と友野君(なんていいヤツだ(再び))
【2024年2月12日】
・公演3日目
メインスケーター三宅星南さんが体調不良により出演キャンセル
千秋楽を終え涙涙のスケーター達
千秋楽直後のスケーター達の言葉を纏めつつ記載します。
大島光翔さん
『いやぁあっという間ですよ。(泣きながら)いやぁぁぁ楽しかったぁぁぁこの為に頑張ってましたよ。』
青木祐奈さん
『練習序盤は大変だったし逃げ出したいとかも一瞬よぎったけど、やって良かった、やりがいが違います。お客さんの歓声もそうだし、、あぁ終わっちゃったーでもまだ実感なくて現実に戻れなさそう。』
村上佳菜子さん
『引退してスケートから気持ちが離れたこともあったけど自分はフィギュアスケーターだって再確認できたしスケート好きだなって感じられるショーだった。大変だったけど、、自分がいるべき場所はここだな、って。スケーターで良かった。』
松岡隼矢さん
『表現、スケート自体の深いところをもっと極めていきたいな、と思いました。ほんとにほんとにキツかったですチョー辛かったです、一日目で逃げ出したい位でした。』
三宅咲綺さん
『すごい充実してて自分のスケート人生の中で一番楽しかった期間です。もう凄いの一言、、初めて自分が(大輔さんを)見た時から凄い人だったけど実際会ってみてもっと尊敬できる人になったしもっと大好きな人になった。これを経験したら戻れないですよね、もっと極めたいと言うか、そういう気持ちにさせてもらえるようなアイスショーだったのかなって思います。』
奥野友莉菜さん
『人生でいっちばん幸せな時間だった。(終始泣きながら)今回声が掛かって自信にもなったし、辛かったけど大変だったけどリンクに何時間乗っていても楽しいと思えたし、皆と一緒に練習してめちゃ楽しかったし注意されても滑走屋を完成させる為に頑張れたから。本番も凄く楽しかったし一番幸せでした。改めてスケート楽しいって感じたからまた頑張ろうとシーズンで結果を出せるように、、、表現も絶対に上手くなっただろうし、ほんとに良い経験させてもらいました。』
友野一希さん
『(大輔さんの)本気度がビシバシ伝わってきて、人生の中でかけがえのない一生の思い出になるだろうと、謎の確信と言うか、凄いものが出来そうだなと。今回自分は皆を纏めないといけないな、と勝手に思って不安の方が強かったので終わった時はほんとに感動しました。
まさかここまで家族のようなアイスショーが出来ると思っていなかったし、何より皆がひとつになっててどんどん変わっていく姿を見て、纏めなきゃ、と思っていたけど、皆高い意識を持ってやっていたのが凄く嬉しかったし沢山刺激を受けて最後までやりきれて良かったな、スケートやってて良かったな、と思えるショーでした。』
山本草太さん
『これだけ大変な新しい経験ができて、もう怖いものはないなって言う位、表現の面でも沢山吸収できたほんとに素晴らしい時間だった。またキャストとして出られることがあればいいな、と思っています。カルメンとか結構良い場所を選んで下さって、自分にとっては難しい表現で遅れて入ってなかなか難しかったけど、チーム一丸となって最終的には良い形にできたと思うし、オフアイスの時でも凄く盛り上げて下さってほんとに素晴らしい方だな、とまた改めて感じることが出来た。また高橋選手の背中を見てこれからもついていけたらな、と思っています。』
村元哉中さん
『考えただけで泣きそう、、最初ほんとに大変だった、見てたからそのクリエイションのプロセスを。お手伝いもしてたし。今までにないプレッシャーを感じてたと思う、3シーズン一緒に過ごして見たことない大ちゃんのプロデューサーとしてのピリッとした表情もあったし、ギリギリのラインにいるな、と。ピンっと糸を切ったら崩れちゃう感じ、プレッシャーとか責任とか、体調不良になった子もいるし色んなことがあった。福岡入りする時ギリギリで間に合うかなと正直思ってたのがバシッと決まってるから、、感動と言うか拍手。スケートしてて良かったと思うし、凄いものを観たというか体験したな、と人生のプラスになった。』
そして
高橋大輔プロデューサー
『今回目まぐるしすぎてプレッシャーはメチャクチャあった。やりたい事をやってこれが成功しなかったら次は絶対ないと思ってたんで。こうやって楽しんでもらえるんだという事は結果として感じる事はできて、まだまだもっと良くなるという可能性はある。
スケジューリングだったり切羽詰まってかなり無理をさせてしまった。日にちが迫ってからそこまでもっていくのが必死でケアが出来なくて。そこは迷惑をかけたな、と思う。
新しい事をするってそういうことですよね、分かんない事だらけで。
皆ほんと大変そうだったし、入ってからもピリピリしてて僕も口調がキツくなったり、それでも文句ひとつ言わずに一生懸命やってくれてそこはほんとに嬉しかったし、どんどん出来上がっていく喜びを感じているのかなというのも肌で感じてて。今回お芝居みたいな事も要求されて、プラスで何か持ち帰ってくれてるんじゃないかな、来シーズンとかちょっと楽しみですよね。
滑走屋のエゴサーチメチャクチャしてて良い評価が多くて良かった。これに甘えずに初回から100%出せるようなものを作り上げかなきゃいけないな、と。
本番までに「完璧だな」っていう気持ちで挑める環境を作ってあげられなかったので。
いつもに比べたらかなり時間を使ってやってたけど、そういうものがどんどん変わっていけばいいな、と思ってる。2週間をかけてアイスショーをするとか。2週間、一か月かけてというのが定番になってくればよりクオリティの高いものになると。
(将来的にはスケーターの活躍する場?)可能性はありますけど僕ひとりでは出来ない。今回は振付のゆまさんに演出まで頼っていた部分がある。それが一人でも出来るようになってくれば。でも一人でするのが決して良いことではないので色んな人とタッグを組んで創造していくのが良いものが出来るんじゃないかな。
本番は気持ちだけでやっていた。その辺はプロとしてどうなの、というのはあったんですけど。
次、と言うよりこの出来上がったものをまだ観てもらいたいのでどこかで出来ればいいな、と。』
顔はゲッソゲソにやつれ目はうつろ、体中痛がってて、ほんとにお疲れ様でした。
当然、2時間半の配信内では本番公演映像が沢山上映されています。
しかし放送用に選ばれたナンバーは全て群舞。
潔いほどにメインスケーターのソロプロは入っていません。
高橋大輔のソロプロでさえも。
アンサンブルを含めて全員が主演であり、主役はいないショーなのだと気づきます。
現地でカメラを見ましたがソニーの小型カメラを三脚で固定したもので、撮影担当は一人。
配信ではスケーターへのフォーカスが効かなくてかなりボケボケの映像多めなんですが、これこそがこの「滑走屋」の真髄だと思いました。
私自身の視覚フレームの中でも、いつも複数のスケーターが動き回り踊り回っていて、目で追っていたスケーターはあっという間にあちらに消え去り違うスケーターが目前に飛び込んでくるのです。
追いながらズームしている時間なんてないのですよ。あれを完璧に映像として収めるのなら複数の固定カメラで多方向から撮り映像をスイッチしていくしかないですよね。
この感覚こそが大輔さんの狙いでしょうね。
息つく暇もないほどのスピード感と氷では見た事のない動きで圧倒される感覚。
今氷上にいるスケーターが誰、とかそういう細けぇことはもう置いとくしかないんです。
スピード、音楽、衣装、照明、大人数のダンスが絶妙に合体して、ひとつの異空間として目前で膨らみ始める。
そして観客はその膨張した世界の吞み込まれるのですよ、とんでもない高揚感と共に。
これまで存在したショーと圧倒的に違うのが、この「没入感」なのです。
これを生み出したのは、やはり流れが途切れない構成と統一された世界観でしょうか。
今回は特に近未来的でアングラっぽくてスタイリッシュ。少し尖ってるけど影も感じる、というサイバーパンクと青春映画が混ざったみたいなテイスト。
ダークで退廃的な雰囲気の音楽をまぁよく見つけ出してくるなぁ、と思いましたよ。
こんな音楽で75分統一するってフィギュアスケートの楽曲選びとしては画期的です。(クラシックの欠片もない)
めっちゃ好みよはっきり言って。
明確なストーリーは無いはずなのに、1本の映画を見終わったような感覚。
そしてその後に残る「中毒性」(なんかヤバいもん撒いてます?)
何今の?もっと見たい!!ってなるんですよね。
全世代に優しいチケット価格とおばちゃんのおトイレ休憩問題も一気に解決する75分上演も魅力的!
氷艶~破沙羅以降、大輔ファンは既にプロジェクションマッピングも中吊りもチャンバラ&ミュージカルも経験済みなのでそういった舞台セッティングでは早々驚きません。
他ショーとは差別化され終始貫かれたダークな世界観、新たな感覚の没入感を初めてアイスショーに持ち込んだ「滑走屋」がここまで熱狂的に未だ語られるのも当然なのかもしれません。
個人的に配信で一番印象的だったのは三宅咲綺さんの言葉です。
「これを経験したら戻れない、、もっと極めたい」
そうですよね、知ってしまったら、何も知らなった頃の自分には戻れない。
咲綺ちゃんは、この10日間でそれを見つけてこれまでとは違う次元の意識に今は、いるんですね。
たぶん皆が同じ気持ちなんじゃないでしょうか。
そして、戻れなくなった「俺たち滑走野郎」が氷艶2024-十字星のキセキ-のオーディションを受け出演を勝ちとっておられましたね、
友野一希さん、島田高志郎さん、大島光翔さん、櫛田一樹さん、木科雄登さん、佐々木晴也さん
おめでとうございます!
大輔さん個人の願い、
自分の好きな世界観で新しいタイプのショーを作りたい
大きな大会で成績を残せなくとも滑りの魅力を持つスケーターが活躍できる場を作りたい
アイスショーを日常のエンタメとして世に広めていきたい
が、一気に形になったショーが出来上がりました。
これは本当に、フィギュアスケートを見た事のない人興味のない人にも「面白いから一回観てみ!」が言えるショーなんですよ。
今は高橋大輔の知名度で興味を引かれても、いずれそれさえも必要でない時がくるかもしれない。
もちろんずっと滑っていて欲しいけどね。
Twitter(まだ言う)では、福岡に行けなかった方達がUPされた映像群に歓喜されていましたが、ごめんなさい、生だと全然違うんですよ。
あの映像をYOUTUBEで60型のテレビで5.1chサラウンドシステムで観たとしても伝わりきらないんですよ。
だからショーを全国に持っていかなきゃいけないし、是非会場で没入して欲しいのです。
公演当時福岡はインフルエンザが警報レベルで流行しており、高志郎君はインフル感染をインスタライブで話していましたので、他の出演キャンセルスケーターもそうだったのかもしれません。
彼らのリベンジの機会になるならほんとに嬉しいし、声援を送りたい。
「自分自身が今素晴らしいものを生み出しつつある」と自覚した若者達の全身全霊が、
このショーのもうひとつの魅力である事を付け加えます。
だから、この配信までが初代「滑走屋」だと思います。
『箱推し』が出来る新機軸のフォーマットを作り上げた2024年2月、高橋大輔37歳最後の大仕事、素晴らしかった。
本当に、お疲れ様でした。
- 公演名 『滑走屋』
- 出演者 高橋大輔 村元哉中 村上佳菜子 友野一希 山本草太 三宅星南 青木祐奈
-
大島光翔 櫛田一樹 門脇慧丞 木科雄登 佐々木晴也 坪井聖弥 松岡隼矢
菊地竜生 三宅咲綺 江川マリア 奥野友莉菜 岩野桃亜 中西樹希
- 開催日時
- 2024年2月10日(土)
【開場】10:00【開演】11:00 / 【開場】13:30【開演】14:30 / 【開場】17:00【開演】18:00
2024年2月11日(日)
【開場】10:00【開演】11:00 / 【開場】13:30【開演】14:30 / 【開場】17:00【開演】18:00
2024年2月12日(祝・月)
【開場】10:00【開演】11:00 / 【開場】13:30【開演】14:30 / 【開場】17:00【開演】18:00 - 会場
- オーヴィジョンアイスアリーナ福岡
福岡市博多区千代1丁目15-30 - チケット
- 全公演共通
スーパーアリーナ席 ¥12,000
アリーナ席 ¥10,000
スタンドS席 ¥8,000
スタンドA席 ¥6,000
※全席指定、税込
ところで、構成会議の会話面白かったな~
ゆまさん「あら、(大輔さんの楽曲が)一番明るいじゃないの(笑)」・・・確かにw
大輔「俺が(演技順)一番最初でもいい(笑)」・・・いやいやそれはw
ゆまさん「ボーカルはどんな感じ?」
大輔「声はエロい」・・・www