２０１３年世界選手権は結果としては残念でした。
ショートプログラム「月光」を観たとき、どれほど練習してきたんだ、と鳥肌が立ち、涙が溢れました。
そしてフリー、羽生くんも万全でない中、五輪３枠確保に厳しい状況となり、大ちゃんにはプレッシャーと
同時に自分がここで踏ん張らなければという強い闘志が生まれたはずです。
ここぞと気持ちが入れば、神演技を生み出す彼ですが、それができなかった。
もちろん推測ですが、原因は調整の失敗だと思います。
猛練習をこなしてきたのは、「月光」の完成度と、各エレメンツのレベルを見れば分かります。
ショート・フリー共スピン、ステップは全てレベル４、スピードも素晴らしかった。
でも、練習のしすぎか、シーズン中の疲労が蓄積されすぎたのか・・・
やっぱり疲れてたんでしょうねぇ。
プログラムの熟練度は練習時間に比例し、「4分半」のこなし方として体に刻まれるとは思うんですよね。
でもやりすぎは、体に疲労を染み込ませ、筋肉の瞬発力を奪う。
これが、4回転を回りきる瞬発力を奪ったんだと思います。
こんなこと、プロのコーチとトレーナーが付いてれば分かることでしょうが、それでもこのような結果になっ
たのには、コーチたちの指導ではどうしようもない他の要因もあると思うんですよ。
今の日本のフィギュア人気を支える第一人者であるが故の、メディアへの露出の多さ。
ショーの出演の多さ。
羽生選手とのVS物語を煽られるプレッシャー。
そして、ショートプログラムの変更。
ショートの変更は、高橋選手の歴史の中に素晴らしい名プロを一つ生み出した点では成功してますが
試合での勝利、という意味では裏目に出たかもしれません。
間違いなく、限られた時間の一部を奪ってしまいましたから。
四大陸選手権前の報道で夜の1時過ぎまで振付している場面がありましたが、あんなの異常だと思う。
そして世界選手権が例年より2週間早いのは、選手のピーキングに大いに影響しているはずです。
ナショナルから世界戦までのすごし方が選手にとって最も重要な期間だと思いますが、
大ちゃんは何してたかって・・・
スターズオンアイスの大阪公演と東京公演をこなし、ジャパンスーパーチャレンジに出て、ショートプログ
ラム一から作りなおして、四大陸選手権に出た・・・（笑）
こんな強行日程じゃ、そりゃモロゾフも怒るわな・・・。パトリックは四大陸さえ出ずに、世界戦に向けて
追い込みと調整をしているというのに・・・。
たぶん、世界一忙しいアマチュアスケーターでしょう。
羽生くんも今回体調管理に失敗してますが、これも根っこは同じだと思う。
モロは、四大陸の羽生君が大ちゃんよりまだ良かったのはスターズオンアイスの東京公演に出なかった
からだ、と言ってたけど一理あると思う。
今、日本のフィギュア人気の全盛期に商業的に稼いでおきたいのも、人気を継続させたいのも分かります
がアマチュアのアスリートをここまで酷使しないでほしい。
これは、いったい誰に言えば良いんでしょう。
コーチ？マネージャー？スケート連盟？メディア？
今季、大ちゃんのピークは間違いなく全日本選手権だった。
夏の走りこみから体力を充実させ、初戦のジャパンオープンでの素晴らしさは今季の好成績を確信できる
ようなものでした。
その後、靴・エッジによる悩みは付きまとったものの、GPFでの優勝、全日本選手権の神演技、と年末に
向けて演技・体は仕上がっていたはず。
でも、あの全日本でエネルギーの殆どを使いきってしまい、それを戻しきれなかったようです。
NHK杯あたりから羽生選手との対決を煽られ、世界屈指のハイレベル国内選手権を戦うことが、他国の
選手と比べてどれだけ激しく消耗するのかもっと選手目線で気を遣ってほしいよ、スケ連さん。
こんなんじゃ、次世代の宝、羽生くんをも潰しかねないと思います。
個人的には、今季ショーで大ちゃんを見られなくても、フレンズさえ出てくれなくても構わない。
ソチ五輪で金メダルを獲る、という彼の夢を叶えるために必要な準備であるならば、ね。
ソチ3枠を確保できたのはほんとに良かった。
また来年に向けてふんどし締め直して（どんなだ？）頑張ることでしょう。
成績の良い年悪い年を波のように繰り返す大ちゃんからすれば今季悪くてもいいんです。
また、次の年に向かって発奮してよい成績を収めてくれるから。
２０１１年世界戦で惨敗してから3年計画でソチに向けて準備してきたけど、昨年の出来が良すぎた。
そんな年の翌年は必ず苦労するから。
昨年はショート・フリーも挑戦プロだったけど、これが歴史的名プロで、しかも名演で滑りこなしてくれまし
た。
特にブルースの成功で、彼は記録も持ち、記憶に残る選手から、更にフィギュア史に残る選手になった。
この世界戦でもジャンプは失敗しましたが、体から音が溢れるような、自分が音を操るような激しくも大きく
体を使った美しいステップ、ドラマが見えるようなシークエンスは観客の心を捉えたと思っています。
どうか、ソチまでは「五輪での勝利」のみを優先して、我がままに練習してほしい。
「月光」のプロとしての成功を見て、モロゾフの援護は間違っていないと思います。
来季は誰にも遠慮せず、勝てるプロを作れる人をチョイスし、自分が感情こめられる曲で最初からいって
ほしい。
そして、やはりジャンプを制するものが勝つんです。今のルールは。
ジャンプが跳べなくなるような、筋肉の爆発力を奪うような、疲労の抜けないスケジュールを組み込まない
でほしい。
高橋大輔というポテンシャルも、人間性も、チームD1SKのトレーニングも皆成果を出していると思います。
あとは、どこにピークをどんぴしゃに持ってくか。
それだけだと思うんです。